日本ハム・西川にバット変更提案 新庄監督が込めたメッセージ 打撃覚醒に導くアプローチ
10年ぶりの優勝を狙う日本ハムのレギュラー争いが熱い。キャンプ中の実戦から結果を出し、新庄剛志監督(54)が頻繁に名前を挙げるのが、吉田賢吾捕手(25)と5年ぶりに古巣復帰した西川遥輝外野手(33)。指揮官が提案した“商売道具”のバット変更というアプローチが、打撃覚醒のきっかけを作っている。
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誰しも強いこだわりがある商売道具。新庄監督は「変えてみない?」のひと言で、進化への背中を押している。チームのポジション争いを激化させている吉田と西川。2人はともに新しいバットを手に取り、快音を響かせた。
「前のバットのメリットを捨ててまで、新しいものに挑戦することができなかった。変えるのが怖かった」。大学時代から同じモデルを使い続けていた吉田も昨年8月、声をかけられた直後はためらった。だが、結果が出ずに2軍落ちしたこともあり「今しか試せない」と決断。「挑戦しなければ、こっちのバットでの新しい自分のいいところも悪いところも知ろうともしなかった」と気付きがあった。
以前はグリップが細くヘッドが利くタイプを使用。勧められたグリップの太い型にすると、必要以上に強く握れないため、スイング時に右手をかぶせてしまう悪癖が出づらい。新タイプで振り込んだことで、昨秋から打撃は「いい感覚がずっと続いている」という。
新庄監督に渡されたバットを元に、自分に合うようにカスタマイズ。キャンプで手に取った指揮官は「すごくバランスのいいバットができてきて」とうれしそうだった。グリップを太くし、長さや重さは同じ。前のバットと同じ感覚で振れるようになっても、結果は違う。キャンプ打ち上げ前日には、新庄監督に「今の状態なら、もう開幕スタメン、ファースト吉田賢吾でしょ」と言わしめるほど。オープン戦開幕後の実戦で13打数7安打の数字を残している。
西川も新庄監督に言われ、キャンプに新たなバットを持参した。「本当に自分に合ってるのかどうか、もう10年ぐらい同じ型でやっているんで、思い切って変えるのもいいのかな」と挑戦。同時に長打力アップを図る大幅な打撃改造にも、監督指令で取り組んだ。
すると、2月23日の阪神戦から対外試合3戦連続アーチを放つなど新境地を披露。指揮官は「結果が出ているポイントとしては、僕の中ではバットですね。グリップが細くてヘッドが利いたバットを、とにかく簡単なコンタクトがしやすいバットに変えたら長打が増えるっていう計算で使ってもらった」と、狙い通りの効果だと説明した。
ここまではひと味違った打撃を見せている2人。もちろん、バットを変えたことが全てではないだろう。吉田は「監督が渡してくれたのは、こういう発想もあるよというバットだった。こういう考え方もあるんだというところは意識しました」と受け止めた。大事なのは、変化を恐れずに新しい自分を見つけようとする勇気。新庄監督がバットを通じて送った“メッセージ”には、そんな思いが込められているように感じてならない。




