夏の甲子園 最高の決勝戦を象徴した2人のキャプテン 強さを兼ね備えた素敵なチーム同士の戦い 異例のシーンが次々と

 「全国高校野球選手権・決勝、沖縄尚学3-1日大三」(23日、甲子園球場)

 決勝戦を象徴したような一枚の写真。2人のキャプテンが盾を持ち、仲よさそうに言葉をかわしている。夏の甲子園決勝へチームをけん引してきた沖縄尚学・真喜志主将と日大三・本間主将。最高峰の舞台で戦い抜いた姿からは、人を引き付けるような人間性がにじんだ。

 優勝キャプテンインタビューで女手一つで育ててくれた母へお立ち台から感謝の言葉を伝えた。「本当に今まで、こうやって甲子園で優勝できる自分にまで育ててくれて、ありがとうという言葉を伝えたいです」。それを聞いたアルプスの母は号泣。支えてくれた人へ、素直に思いを伝えたことがあっただろうか-。その前には夏初制覇について問われ「相手があったからこそなので感謝したい」と自らの喜びの感情ではなく、戦ってきた相手への敬意を明かしていた。

 一方の日大三・本間主将は敗れてナインが泣き崩れる中、甲子園の全方向へあいさつするようチームをまとめた。三木監督が「東京大会からそうしてきたので。最後、ありがとうございますってみんなでやろうと。決め事なので」と明かしたように、日大三として決めたことを遂行しようと主将が声をかけていた。

 そして一塁アルプスだけでなく、外野席、三塁アルプス、バックネット側と深々と頭を下げると、360度から大きな拍手が降り注いだ。

 その光景に「最後に戦った相手として認められた気がした。沖縄尚学さんなしでは、こんなにいい試合はできなかった」と明かした本間主将。閉会式後に控え室に戻ると押し殺していた感情がこみ上げ「勝たせたかった監督。三木さんが初めて1年目から見てくれた代。もう十分漢ですが、日本一の監督として漢にしたかった」と涙が止まらなくなった。

 あと一歩、優勝には届かなかった。それでも凛としたキャプテンとしてのたたずまいは18歳の少年とは思えないほど立派だった。最後まで我慢していた涙を流し、「監督を勝たせたかった」。そう言えるほど監督と信頼関係を築き、チームの思いをまとめてきたからこそ、試合後、泣き崩れるナインが多かったのだと思う。

 もちろん甲子園の決勝まで勝ち上がる強いチームだったことは間違いない。ただそれ以上に“良いチーム”“素敵なチーム”という印象を抱かせた今年の決勝戦。閉会式後、両主将は盾を持ちながら仲よさげに言葉をかわしていた。監督同士、選手同士がたたえ合うシーンも多々あった。そんな空気が生まれたのも、真喜志主将と本間主将の存在があったからなのかもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)

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