11分23秒の根比べ 広島・高とDeNA・宮崎が織り成す死闘 20球目の衝撃結末にスタンド騒然
「DeNA2-5広島」(21日、横浜スタジアム)
広島・高太一投手とDeNA・宮崎敏郎内野手が11分23秒に及ぶ死闘を繰り広げた。
DeNAが5点を追いかけた七回1死一塁。激闘の始まりだった。ストライク、ファウルの2球で追い込まれたが、ボールの後に3球連続ファウルで粘った。ボールを挟んでファウル、ボールでフルカウント。10球めから4球連続ファウルとなると、打席の宮崎は白い歯を見せて笑い、マウンド上の高はしゃがみこんだ。そこに二塁・羽月が駆け寄り、言葉をかけた。
戦いはまだ続く。7球連続ファウルとなった16球目。三塁ファウルグラウンド付近に上がった打球を三塁・佐々木が追いかけたが、ネットを越えてファウルになると、スタンドのファンが手を叩いて喜んだ。
19球目。内角球を10球連続ファウルにした宮崎の口は開き、目をつむるようにしながら「フーッ」息を吐いた。2人だけの空間に観客は吸い込まれた。
そして20球目。145キロ直球を完璧に捉えた打球が左翼ポール際に飛び込むと、両軍ファンから歓声が起こった。時間にして実に11分23秒の死闘だった。
宮崎は「後ろにつなぐことだけ考えて、とにかく食らいついていきました」と語り、三浦監督は「当てるだけじゃなくて、しっかりスイングした上でのファウル。(最後に本塁打としたのは)宮崎の技術だと思います」と称賛の言葉を贈った。
一方、広島・高は「何球投げたか覚えてないです。すごいっす。打ってくれ!と思って投げましたけど、最悪の結果になってしまいました」と自虐的に振り返ったが、7回2失点の好投で2勝目をつかんだ。
昨年、中日・涌井と広島・矢野がプロ野球新記録となる22球の勝負を演じ、最後は矢野が四球を勝ち取った。球数では2球及ばなかったが、見応え十分の根比べだった。





