東北福祉大7年ぶり4度目V 今秋ドラフト候補の桜井頼が完投締め「みんなの声が支えに」今大会323球結実
「全日本大学野球選手権・決勝、東北福祉大8-1福井工大」(15日、神宮球場)
東北福祉大が8-1で福井工大に快勝し、2018年の67回大会以来、7年ぶり4度目の優勝を果たした。今秋ドラフト候補の最速151キロ右腕・桜井頼之介投手(4年・聖カタリナ学園)が1失点完投。今大会は4試合23回を投じ2勝、防御率1・96で最優秀投手賞に輝いた。元広島、阪神の町田公二郎監督(55)が率いる福井工大は初優勝とはならなかった。
力を振り絞って投じた148キロで空振り三振を奪うと、神宮の空へ両手を掲げガッツポーズした。今大会323球目に結実した思い。「高ぶりすぎて、感情がよく分からなかった」。笑顔の桜井頼が、あっという間に歓喜の輪に埋もれた。
「チームを勝たせることが自分の役割。それだけを考えていました」
いきなりピンチを招いたが冷静だった。初回先頭に二塁打を許すも、次打者のバントを処理して三塁へ送球しアウトに。その後の2死一、二塁では、糸を引くような150キロ直球を外角低めに投じ、見逃し三振を奪って無失点で立ち上がった。球威は終盤まで衰えず、得意のスライダーも効果的に使って1失点完投。青学大の3連覇を拒んだ14日の準決勝に続く2戦連続の先発に「疲労は感じていた」というものの「変化球を中心に組み立てて疲労が軽減できた。一番は応援してくれたみんなの声が支えになった」と仲間に感謝した。
チームでは157キロ右腕・堀越啓太投手(4年・花咲徳栄)が注目の存在だ。恵まれた体格の堀越の隣に身長173センチの桜井頼が並ぶと、より小柄に映る。ただ「小さいから負けるわけじゃない。自分は自分で憧れられる人間になれれば」と心が揺れることはない。
目指す姿を問われると「名前の通り、頼られる投手になりたい」と右腕。小さな大エースが名門復権を支える。
◆櫻井 頼之介(さくらい・よりのすけ)2003年7月21日生まれ、21歳。兵庫県尼崎市出身。173センチ、66キロ。小1から難波ホークスで野球を始め、尼崎中央中では尼崎ボーイズに所属。聖カタリナ学園では1年秋からベンチ入りし、同校の甲子園初出場となる3年春センバツでは1回戦で完投も敗戦。東北福祉大では1年秋にリーグ戦デビューし、4年春にMVPを獲得。50メートル走6秒2、遠投120メートル。




