長嶋茂雄さんのリハビリのため 松井秀喜氏と約束「監督やる」言い続けて 三奈さん秘話明かした
3日に肺炎のため89歳で死去した「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんの葬儀・告別式が8日、東京都内で営まれ、元チームメートや教え子たちが別れを惜しんだ。喪主を務めた次女の三奈さん(57)は松井秀喜氏(50)とかわしたある約束や、病床で最後の最後まで諦めない姿を見せ続けた父への思いを通夜を含めた喪主あいさつで語った。葬儀ではソフトバンク・王貞治球団会長(85)が弔辞を読み上げ、盟友をしのんだ。
三奈さんは前夜に行われた通夜の喪主あいさつで、「実は松井さんと私でちょっとある約束をしていたことがありました」と切り出し、秘話を明かした。
「松井さんが次の巨人の監督になられるかのような雰囲気を父に醸し出しておけば、父は毎年そのことを楽しみにリハビリをもっともっと頑張るので、松井さん、どうか父が100歳になるまで言い続けてください。もう題して『監督やるやる詐欺』をしましょうと、ずっと松井さんと話していました」
長嶋さんは2004年に脳梗塞で倒れ、晩年も病気との闘いが続いた。懸命にリハビリを続ける父。少しでも励みになれば、という三奈さんの思いがあふれたエピソードであった。
葬儀の喪主あいさつでは遺影を持った長男の一茂氏と並び、亡くなる直前の様子を語った。
3日早朝、長嶋さんは脈拍と血圧の数値が0になったが、よく見るとモニターの波形はずっと続いていたという。医師も驚き、看護師から「監督が心臓を動かそう、動かそう、動かそうとしている振動なんだと思います。こんなの見たことがありません」と言われたという。三奈さんは「最後まで、俺は生きるんだ、諦めてないぞ、諦めてないよと。父の心臓の鼓動がそう発していると、私は思いました」と言葉を続けた。
祭壇には1959年の天覧試合の阪神戦でサヨナラ本塁打を放ったバットや、現役時代のユニホームやトロフィーが展示された。そして「どうか父の大好きなオレンジの花で、囲ってください」という三奈さんの希望で、ジャイアンツカラーである鮮やかなオレンジの花々が飾られた。
通夜に126人、葬儀に96人が参列し、ミスタープロ野球との別れを惜しんだ。「父は、きっとこの後、天国でも日課としている散歩とトレーニングを続けると思いますので、晴れた日には、皆様どうぞ時々空を見上げて、父のことを思い出していただければと思います」。最後まで笑顔を絶やさず、気丈に振る舞い続けた三奈さんの姿にきっと、天国の長嶋さんも晴れやかな笑みを浮かべたに違いない。





