プロ野球の国民的スーパースターで「ミスタープロ野球」の愛称で親しまれた巨人・長嶋茂雄終身名誉会長が３日午前６時３９分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。８９歳だった。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は次女三奈さん。後日、お別れの会を開く。

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　やんちゃな夕刊紙に在籍していた１９９７～２０００年の４年間、巨人担当を任されたが、短い期間でも長嶋さんはとにかく陽気で痛快な方だった。

　特に２０００年の日本シリーズ、当時ダイエー・王監督との「ＯＮ対決」は日本中の野球ファンが熱狂した。結果は長嶋監督率いる巨人が日本一を達成。戦う前は「ワンちゃんとのシリーズは１回限りでいいよ…」と複雑な思い入れもあったのか、柄にもない殊勝な発言を連発していたが、何のことはない。これはまったく本音ではなかった。

　日本一になった後に直撃インタビューで話を聞くと「何年俺を見てるんだ！　アレは社交辞令に決まってるだろ！俺とワンちゃんの戦いが一度限りじゃつまらんだろう。また…というか何度でもやりたい！」と真逆のことを言い出したのだ。

「実はね、俺は最初ここまでＯＮシリーズが盛り上がるとは思ってなかったんだ。我々の子供の年齢の選手がプレーしてる。だからファンもＯＮと聞いてもピンとこない人もいると踏んでたんだ」と謙遜した上で、最後は「で、そうじゃなかったからうれしい。世紀末をああいった形で制したんだから２１世紀の頭を制することに意義がある。その相手がワンちゃんなら言うことなし！まだまだ２１世紀はＯＮシリーズだよ」とゲンキンというか、一転してやる気満々だった…のは今でも燃える男・長嶋さんらしいと思っている。

　私もＯＮによるシリーズ再戦を楽しみにしていたが、残念ながらその後は実現することはなかった。またお会いしたかった。ご冥福をお祈りします。（デイリースポーツ・岩崎正範）