プロ野球界のオンラインカジノ問題 求められる徹底調査と厳正な処罰辞さない姿勢
日本野球機構(NPB)は27日、オリックス・山岡泰輔投手(29)のオンラインカジノ利用が発覚したことを受けた12球団の調査で、7球団で新たに合計14人の自己申告があったと発表した。名前は公表されなかった。中村勝彦事務局長は「非常に重く受け止めている」と説明。今回の調査では、野球協約180条で禁じる野球賭博に抵触する申告はなかった。当面の間は自主申告の受け付けを継続する方針で、処分は各球団の判断に委ねる。
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賭博問題を根絶する難しさを改めて痛感させられた。記者がNPB担当をしていた15年秋~16年春に起こった巨人選手の野球賭博問題。約9年の時を経てオンラインカジノによる不法賭博問題が球界を震撼(しんかん)させている。
ただ、先の野球賭博問題以降に各球団やNPBの再発防止策が緩かったために再び問題が起きたのか?そう問われれば記者が知る限りで答えは「NO」だ。各球団は選手たちへ違法賭博や薬物に対する啓発活動を続け、NPBも新人研修を含めて徹底した再発防止策に努めてきた。だからこそ、難しさを感じる。
今後は『それでも問題は起きる』という視点を持つことが大事だろう。
時代が変わり、今回のオンラインカジノなど犯罪の入り口が日常へ溶け込んできた。人間の心の弱い部分へ巧妙に入り込んでいく形となっている。
また野球賭博問題で傷を負った12球団やNPBと、毎年新たに球界の門をたたく選手たちに意識の違いがあるのは当然だ。再発防止策が功を奏して何事もない時間が続けば、皮肉にも心の隙が生まれる。ゆえに根絶は困難と言わざるを得ない。
ただ、これは再発防止を諦めろということではない。従来の啓発活動に加え、今後は「対症療法」の徹底を打ち出すことが重要ということだ。
米大リーグでも野球賭博に関与したとして昨年にパドレス・マルカーノ内野手が永久追放となり、今年2月にはホーバーグ審判員が解雇された。コミッショナーのロブ・マンフレッドはこの調査に約1年の時間を要している。散見する賭博問題に対して徹底した調査と厳正な処罰で、一つの抑止力とする方針だ。
今回の12球団の調査は一応の結果を示したが、これを終結と考えるならば野球賭博問題の教訓も生かされていない。重い罪を犯した者が自己申告するのは難しい。だからこそ虚偽の供述、または口をつぐむ選択をする。
NPBは他にも法律や協約に抵触する違法賭博の関与者が内在する可能性を捨てず、今後も調査を続けることを明確にすべきだ。拙速な結論で幕引きを図れば、ファンの納得感や球界全体の意識共有を得られない。徹底した調査と厳正な処罰も辞さない姿勢が、今こそ求められている。(デイリースポーツ・2015年~17年NPB担当、現巨人担当・中田康博)




