阿南光32年ぶり新校名初星 主将・井坂が顔面死球も気迫!九回打者一巡の猛攻呼んだ 「フラフラ」も高橋監督気持ち尊重

 8回、死球を受ける井坂(撮影・佐々木彰尚)
 7回、豊川・鈴木貫(6)の生還を阻止する阿南光・井坂(撮影・石井剣太郎)
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 「選抜高校野球・1回戦、阿南光11-4豊川」(19日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、阿南光は豊川を11-4で下し、校名が新野だった1992年以来32年ぶりの勝利を挙げた。主将の井坂琉星捕手(3年)が顔面に死球を受けるアクシデントに見舞われたが、全員一丸で初戦を突破した。明豊は敦賀気比に1-0でサヨナラ勝ちし、高崎健康福祉大高崎は学法石川を4-0で下した。

 アクシデントに見舞われても立ち上がった主将の意地に、阿南光ナインは奮い立った。4点リードの八回無死一、二塁。バントの構えを見せた井坂が左頬下に死球を受けた。転倒し、歯を食いしばってその場にうずくまる。球場が騒然とする中、ベンチに下がり、臨時代走が出された。攻撃終了後も約7分間治療を継続。背番号2が笑顔で再びグラウンドに帰還すると、スタンドは大きな拍手に包まれた。

 高橋徳監督(41)は手当て中に交代を促したが、井坂はかたくなに拒否し続けた。指揮官は試合後、ハンカチを手にとって涙ながらに舞台裏を明かした。「アイツが首を振るので…。よう頑張りました。フラフラなんですけど彼の気持ちを尊重して送り出しました」。試合終了後に井坂は病院に直行。検査結果は打撲傷と大事には至らなかったものの、満身創痍(そうい)で最後までマスクをかぶり続けた。

 懸命にプレーする女房役の姿を見て、エースも体にムチを打った。井坂と中学時代からバッテリーを組んでいた吉岡暖投手(3年)は143球の熱投で11奪三振を記録。「井坂ならすぐにグラウンドに戻ってきてもらえると信じていた」と相棒のリードに導かれ、9回9安打4失点で完投した。

 八回裏には2点差に迫られたものの、打線が九回に打者一巡の猛攻で一挙6得点。新基準の低反発バットを軽打も交えて巧みに使いこなし、2桁安打&2桁得点をたたき出した。主将のガッツに感化され、ナインは試合終盤に息を吹き返した。

 現校名になってから初の聖地星を挙げ、「みんなで校歌を歌えて感慨深かった」と井坂。徳島県阿南市内から集まった地元集団で公立の雄となる。

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