「選抜高校野球・２回戦、英明３－２智弁和歌山」（１９日、甲子園球場）

　１回戦１試合と２回戦２試合が行われた。第３試合で英明（香川）が３－２で智弁和歌山（和歌山）との接戦を制し、５年ぶり３度目の出場でセンバツ初勝利を挙げた。プロ注目の寿賀弘都外野手兼投手（３年）が、打っては六回に先制適時打、投げてはアクシデントに見舞われながらも、２回１失点の粘りの救援で相手打線の反撃を振り切った。

　痛みに耐えて、よく頑張った。寿賀が先制打と気迫の救援で、智弁和歌山撃破に貢献。英明にとっては春の聖地初勝利に「すごくうれしい」と笑顔を見せ、「（監督の）香川先生が涙を流していたので、僕たちもぐっとくる気持ちはありました」と喜びをかみしめた。

　同点の七回から２番手で登板。三者凡退で流れを引き寄せた。味方が２点勝ち越した八回は１点こそ失ったが、１死満塁の大ピンチを一ゴロと中飛で切り抜けた。

　アクシデントを乗り越えていた。八回は１死二、三塁で捕手・中浦の二塁送球が左肘を直撃。アイシングとテーピングで緊急治療も激痛は取れなかった。交代を打診されたが続投を志願。指揮官の「四球を出してもいいから、とにかく腕を振って、おまえの球を投げてこい」との言葉に奮い立った。強い気持ちで腕を振り、同点も逆転も許さなかった。

　“魔曲”とも称される「ジョックロック」にも負けなかった。対戦が決まってから、動画サイトで智弁和歌山のアルプス応援を繰り返し視聴。「何度も聞いて慣れようとしたけど、実際にマウンドに上がるとすごい迫力だった」と振り返る。「１点は取られたけど、要所を締められてすごく大きかった」と自信を得た。

　憧れ続けた甲子園で初めてのプレーだった。粘り強い野球で接戦を勝ち切り「すごくいい経験だった」と充実の表情。４番打者としては１安打２三振に「全然です」と反省も忘れない。２回戦は作新学院と対決。再び強豪校を相手にして、英明の大黒柱が今度こそ投打ともに本来の力を存分にアピールする。

　◆寿賀　弘都（すが・ひろと）２００５年６月１６日生まれ、１７歳。高松市出身。１８０センチ、７８キロ。左投げ左打ち。外野手兼投手。小２から軟式の香西汐風クラブで野球を始め、勝賀中時代は硬式の高松リトルシニアに所属。英明では１年秋から背番号「１２」でメンバー入り。好きなプロ野球選手はヤクルト・田口麗斗。