明秀学園日立・佐藤 仲間と監督へ恩返しの一発 一度野球辞めるも「連れ戻してくれてありがとう」

 デイリースポーツ記者の心に残った今シーズンの試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。遊軍の南香穂記者は今夏の茨城大会決勝で明秀学園日立が勝利し甲子園出場を決めた試合を挙げた。サヨナラ2ランを放った佐藤光成外野手(3年)は1年時に一度は野球を辞めるも、チームメートの励ましを受け野球部に戻った。それから努力を重ね、迎えた大舞台で決勝弾。仲間と監督へ恩返しの一発だった。

  ◇  ◇

 雲一つない真夏の青空に描かれた1本のアーチ。明秀学園日立が春夏連続の聖地へ踏み出す一発だった。佐藤光がサヨナラ2ランを左翼芝生席へ放り込むと、一気にベンチから飛び出したナイン。高校球児が歓喜に沸いた瞬間だった。

 この試合、佐藤は無安打に終わっていた。同点の九回2死二塁。「(代打に)代えられて当然だった」と振り返る。だが、努力を重ねて得た、仲間からの厚い信頼と「光成にかける」というベンチの声に背中を押され、勝負を決めた。

 高校1年時の秋季大会後、練習についていけず、野球部を辞めて実家に帰った。それでも、寮で同室だった小久保快栄内野手(3年)や本坊匠外野手(3年)から「辞めないでほしい」。他のチームメートからもたくさんの励ましの言葉をもらったという。

 一度は投げ出した野球。実家に戻って約2週間がたち、決意を固め寮に戻ると、迎えてくれたのは温かい仲間たちだった。「『戻ってきてくれてありがとう。また一緒に頑張ろう』と言ってくれた」。その日から、夏の甲子園を夢見て、努力を惜しまなかった。

 そして最終学年になり、最後の夏の大会を迎えた。まるで用意されたかのような恩返しの舞台で、大きな期待に応えた。「あの時連れ戻してくれてありがとう。使い続けてくれて感謝しています」と、仲間と涙を流し抱き合った。

 意志を固めた時から思い続けてきた甲子園。過去に感じたつらさ、悔しさ、もどかしさを一振りではねのけ聖地切符をつかみ取った。頂点だけを見据え、鍛錬を重ねてきた3年間で、最高の笑顔がはじけた。

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