「ソフトバンク６－０ロッテ」（２４日、ペイペイドーム）

　ソフトバンクは優勝争いの真っただ中で、明石に「はなむけの打席」がチームの合言葉だった。引退試合でもあったベテランに、プレッシャーのかかる中で打席に立たせるわけにはいかない。中村晃のバットがムードを高め、勝利を導いた。四回２死一、二塁から、右翼ポール際に６号３ランを放った。

　「（明石に）最後の打席は緊迫したところではなく、楽しく立ってほしいと一番思っていた。そういう形がつくれたのは良かった」と中村晃。普段は温厚な男が左手でバットを投げ捨て、雄たけびを上げたのも、明石への気持ちの表れだ。さらに今宮も適時打を放ち、６点リードの七回１死で明石が代打で登場。後輩の思いに応えるように、投手強襲の内野安打を記録した。

　投げては板東がプロ初の完封勝利と、投打がかみ合った狙い通りの一勝だ。明石の引退試合を白星で飾り、優勝マジックも６に減らした。

　藤本監督は「試合前にみんなに、明石が出るまでにたくさん得点をしといてくれと言った。本当にそうなって（代打で）出しやすかった。投手強襲の明石らしいヒットが出て本当に良かった」と喜んだ。試合後には全員で明石を、背番号と同じ８度胴上げ。優勝に向けてナインの結束もまた一つ深まった。