「全国高校野球選手権・１回戦、聖光学院４－２日大三」（９日、甲子園球場）

　聖光学院（福島）の背番号１、佐山未来投手（３年）が、日大三の強力打線を４回２／３無失点の好救援で逆転劇へ導いた。１－２の五回１死三塁で２番手として登板。登板直後の打者の飛球を右翼・三好が本塁へ好返球してピンチを脱出した。「いい流れで入ることができた」。県大会では不振だった１４０キロ前後の速球のキレも戻り、粘り強さを見せた。

　マウンドに上がる前に、ユニホームの胸の辺りを握る。そこには５月２９日に亡くなった祖母、久子さん（享年７１）の遺骨。がんで闘病していた久子さんは、今春のセンバツは車いすで見に来てくれたが、今夏は駆けつけられなかった。父の正和さん（４４）は「遺灰から『試合の時のためにもらうわ』と。おばあちゃん子だったので」と息子の思いを代弁した。

　将来の夢は「プロ野球選手」。それも「祖母と約束」だと佐山は言う。優勝候補の一角を下し、次戦は横浜。初の夏の聖地で「いつも以上の力が出る感覚があった」。大好きなおばあちゃんが見守っている。エースは見えない力に守られている。