「全国高校野球選手権・１回戦、社１０－１県岐阜商」（９日、甲子園球場）

　県岐阜商は、５日に新型コロナウイルス集団感染が判明し、特例でメンバー１８人中１０人を入れ替えて初戦に臨んだ。両エースが不在で計５人の投手をつぎ込んだが、戦力不足は否めなかった。

　背番号１７をつけて「７番・右翼」で先発した高橋一瑛外野手（２年）は、ベンチ外から緊急招集された。岐阜から急きょチームに合流し、練習は２日間。自身初の公式戦が、甲子園出場となった。「自分が絶対に役に立って、勝って（２回戦で戻ってくる）先輩につなげようと思った」。二回に左前打を放ち、七回には守備でもダイビングキャッチ。懸命なプレーでチームを元気づけた。

　「自分は一般入試なので、絶対にチャンスをつかもうと、開き直った」という高橋に、コロナ禍で戦線を離脱した正捕手の村瀬海斗（３年）からは「頑張っていけと言われた」。また、大学に進学した先輩から「甲子園は浜風の影響でボールが変化する」と助言を仰ぎ、「全力で追うという意識で守った」と好守につなげた。

　試合に出られなかった３年生には「お世話になったのでとても勝ちたかった。勝てずにすいませんでしたと言いたい」と悔しさをにじませた高橋。「３年生の思いを受け止めて、新チームで春夏と甲子園に戻ってきたい」と必死に前を向いた。