ヤクルト NPB史上最速のM53点灯 塩見が同点&プロ初サヨナラ打

 「ヤクルト2-1DeNA」(2日、神宮球場)

 両手を大きく広げ、ヤクルト・塩見が歓喜のシャワーを全身で浴びた。ベタベタになった体で主将の山田と抱擁。「打席に行く前に、実は哲人さんからパワーをもらったんですよ」。プロ入り初のサヨナラ打で、NPB史上最速の優勝マジックナンバー「53」が点灯。“家族”でつかんだ白星だ。

 我慢し、みんなでつないだ延長戦だった。決したのは十回だ。1死二、三塁から、代打・川端が申告敬遠された。満塁のサヨナラ機。「僕サヨナラしたことないんです」-。塩見がベンチで声をかけたのが、山田だった。

 プロ5年目。何度もあったサヨナラ機で、いつも凡退。塩見の思いに触れ、山田は手を差し出した。「俺がパワーあげる。お前、打てるよ」。握手し、向かった打席でバットを振り抜くと、懸命に走った。結果は三塁頭上へのサヨナラ適時内野安打。輪の中心で最後は笑った。

 「本当に家族のようなチームで、毎日毎日クラブハウスにくるのが楽しみで。雰囲気もとてもよくて、素晴らしいチームです」

 八回に同点打を放ったのも塩見だった。助け、支え合いながら挑む連覇へ。ついにセ界の貯金を独り占めし、優勝マジックがともった。「次ああいう場面が回ってきたら、もう少ししっかりしたヒットを打てるように頑張りたい」と塩見。一丸の強さを見せる昨季の王者に、もはや隙はない。

 ◆2リーグ分立後史上最速のM点灯 2リーグ分立後、これまでの最速点灯日は1965年・南海の7月6日で、今季のヤクルトが57年ぶりに更新した。さらにこの日が今季76試合目で、126試合目に点灯した昨季より50試合速いペースに。ちなみに、これまでのセ・リーグ最速点灯日は03年・阪神で76試合目の7月8日だった。

 ◆セ界の貯金独り占め 最近のセ・リーグでは2020年6月23日に首位・巨人が貯金4で他5球団が勝率5割以下。首位球団が貯金2桁は、2019年7月20日に85試合を消化していた首位・巨人が貯金16、他5球団が勝率5割以下だった例がある。

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