ロッテ・佐々木朗「個人的にも負けられなかった」宮城との初対決力に10・14M点灯導く

 デイリースポーツ記者が今年を振り返る企画「番記者ワイドEYE」は、ロッテ担当・水足丈夫記者(47)が、佐々木朗希投手(20)が3勝目を挙げ、球団51年ぶりの優勝マジック点灯に導いた10月14日・オリックス戦(京セラドーム大阪)を回顧。同級生の宮城とプロ入り後、初めての投げ合いを掘り下げます。

  ◇  ◇

 これまでにないほど鬼気迫る表情で投げていた。首位・オリックスとの直接対決。本塁打王の杉本から空振り三振を奪ったシーンでは何度も手をたたいた。シーズンを通してみると、冷静に投げる姿が印象に残っているが、この日に限っては珍しくあふれる感情を表現していた。

 重圧をはねのけ、6回5安打無失点8奪三振。51年ぶりの優勝マジック9を点灯させる3勝目を挙げた。「勝ったら優勝マジックという中で、なかなかつかなかった。チームとしても負けられない試合で、勝ててよかった」。力の抜けた表情で達成感に浸っていた。

 試合前の時点で、残り11試合で首位・オリックスとは1・5ゲーム差。この試合の重要さを登板前から感じ、重圧と戦っていた。

 今季の開幕前からの合言葉は、1970年以来のシーズン1位でのリーグ優勝。佐々木朗は2010年の下克上日本一を知らないが、リーグ優勝の重みは井口監督からも伝えられていた。絶対に負けられない戦いに向け、期する思いがあった。

 実は大一番の朝には異変があった。起きようとしても起きられず、金縛り状態になっていたのだ。「体が思うように動かなかった」と大阪の宿舎でスタッフに打ち明けている。アマチュア時代を通じてもこれまでにない経験だった。

 決して良くない状態で、当時の最速158キロを連発した。なぜか。同級生の宮城との投げ合いが、気持ちを奮い立たせていた。

 佐々木朗にとって、宮城は高校日本代表のチームメートで一目置く存在だ。グラウンドでは表だって会話は交わさないが、今季はベンチ裏では会話を交わすこともあった。「個人的にも意地でも負けられない試合だった」。よき友でもあるライバルとの初対決をエネルギーに変えた。

 シーズン終了後、佐々木朗はこの試合を「優勝マジックが点灯する試合で投げられたのはよかった」と思い出の試合に挙げ、「すごく緊張して、投げ終わっていいピッチングができた時、勝った時の達成感、やりきった感は今までにないぐらいあった」と語った。

 最終的にはリーグ優勝を逃し、チームの悲願達成は来季以降へ持ち越しとなった。ただ、佐々木朗としては大一番での勝利で、来季への自信と手応えをつかんだ。大船渡を離れ関東圏での生活も来季で3年目。移動時の渋滞が多いことに「大変ですね」と笑うが「慣れてきた部分はある」と言う。大きく飛躍した2年目の経験が、来季の飛躍へとつながると確信している。

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