市和歌山・小園「甲子園は素晴らしい場所と同時に怖い場所」聖地での経験胸にプロへ

 DeNAのタオルを手に笑顔を見せる市和歌山・小園健太(撮影・高部洋祐)
 関係者から花束を受け取る市和歌山・小園健太(右)と市和歌山・松川虎生(撮影・高部洋祐)
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 「プロ野球ドラフト会議」(11日、都内ホテル)

 市立和歌山の小園健太投手(18)は1位で阪神、DeNAが競合した末、抽選でDeNAが交渉権を獲得した。西武1位のノースアジア大明桜・風間球打投手、阪神1位の高知・森木大智投手とともに“高校ビッグ3”として注目を集めていた小園。甲子園をめぐるその高校時代を振り返る。

  ◇  ◇

 マウンドでの小園は、まさに冷静沈着。「試合前はもちろん緊張するんですけど、始まったら自分が抑えるという気持ちの方が強くなるので」と、たとえピンチを背負ったとしても、静かにギアを切り替え淡々とアウトを奪っていく姿が印象的だ。

 そんな小園が、珍しく不安そうな顔を見せたのが、甲子園のマウンドだった。自身初の聖地となった今春のセンバツ。初戦の県岐阜商戦では、9回をわずか4安打8奪三振で完封勝利を挙げたが、2回戦・明豊戦では五回から救援登板して勝ち越し打を浴びた。

 「自分自身と戦っているような最悪のピッチングをした。憧れてきた甲子園は、素晴らしい場所と同時に、すごく怖い場所だと感じました」

 試合後、小園は悔しそうに言葉を絞り出した。普段はあまり何事にも動じない右腕でも、あの瞬間は自分の感情をコントロールできなかったという。現に、後日の取材でも「人生で一番緊張した。前日まではそんなことなかったのに、いざマウンドに立ったら雰囲気とかが全然違った」と振り返っていた。

 さらに、ラストチャンスだった今夏は、和歌山大会決勝で宿敵・智弁和歌山に完璧な“対小園対策”をとられて惜敗。敵将・中谷仁監督(42)は「小園君というピッチャーをどう打つ崩すかという思いでやってきた。彼を超えられたことが自信につながった」と、度々小園の名前を挙げていた。

 くしくも、負けた相手が全国の頂点に立つ姿を見た小園は「本当に応援していたんですけど、やっぱり悔しかったですね」と本音をこぼした。ドラフト1位候補と騒がれ、それ相応の結果を残してきた小園の高校野球人生の中でも“甲子園”は苦い思い出の方が多かったはずだ。

 そんな右腕が、DeNAでプロでの一歩を記す。阪神との対戦で、思い入れの強い甲子園に帰ってくる日もそう遠くないかもしれない。さらなる成長を遂げて、その勇姿を披露してくれるはずだ。(永井優花)

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