【谷佳知氏の眼】進塁打に徹し、次打者に託す この意識共有が日本の強さ

 「東京五輪・野球・準々決勝、日本7-6アメリカ」(2日、横浜スタジアム)

 米国との決勝トーナメント準々決勝に臨んだ日本は、延長十回タイブレークで劇的なサヨナラ勝ちを収めた。1死二、三塁から甲斐拓也捕手(28)が右越えにサヨナラ打を放ち、激闘に終止符を打った。「救援陣の粘り」を最大の勝因に挙げたデイリースポーツ評論家の谷佳知氏(48)は、随所に現れた日本の強さの理由についても分析した。

  ◇  ◇

 日本の粘りは本当に素晴らしかった。逆転されても、勝ち越されても、負ける雰囲気がベンチにはない。投手が打たれても打ち返す力がある。観客はいないが、やはり日本で五輪が開催されているというのは、選手たちにとって大きいと思う。

 結果は甲斐が打ってサヨナラ勝ちだが、救援陣の粘りが最大の勝因だろう。六回から千賀、山崎、大野雄と無失点でつないでくれたから、九回に同点に追いつくことができた。最後まで諦めないぞという気持ちが伝わる投球をしてくれた。

 そして九回の攻撃の粘りもすごかった。五回に五輪初安打となる本塁打を放った鈴木誠だが、必死に粘って四球をもぎ取った姿には日本の4番を背負う責任感を感じた。

 攻守にわたる粘りで同点とし、タイブレークとなった延長十回はお互いの野球文化が出た。無死一、二塁から米国は強攻、日本は送りバント。打つことが最優先の米国に対し、日本は走者を進めることを最優先とした。

 その差が最後は出たのだが、日本は五輪に入り、走者を進める打撃を心掛けている。自分は進塁打に徹し、次打者に託す。スター選手の集まりだが、みんながこの意識を共有しているのが日本の強さだろう。(96年アトランタ銀、04年アテネ銅)

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