興国 46年ぶり聖地に王手 元ロッテ・ドラ1喜多監督の人間教育で履正社撃破

 「高校野球大阪大会・準決勝、履正社4-5興国」(31日、大阪シティ信用金庫スタジアム)

 大阪大会では準決勝2試合が行われ、興国が延長14回タイブレークの末、中村莞爾内野手(2年)のサヨナラ右越え適時打で熱戦に終止符を打ち、前回大会覇者の履正社を下した。1975年以来、46年ぶりの聖地まであと1勝に迫った。大阪桐蔭は今秋ドラフト上位候補・松浦慶斗投手(3年)の好救援で、延長14回タイブレークの末、関大北陽を下した。

 快音が3時間30分の熱戦に終わりを告げた。タイブレークに突入した延長十四回、1死二、三塁。「あとは打つだけ」と心を整理した中村は、変化球を軽くバットに乗せた。打球は右翼の頭上を越えるサヨナラ打。前回大会覇者を下し、46年ぶりとなる夏の聖地に王手をかけた。

 劣勢でも流れを渡さなかった。3点リードを追いつかれた七回2死一塁。喜多隆志監督(41)から「外野をやってみいひんか」と助言を受け、今夏に内野手から転向した渡部颯外野手(3年)が、左翼への大飛球をフェンスにぶつかりながら執念のキャッチ。胸部を強く打ち、仲間に肩を支えられながらベンチへ戻った。

 「もう無理だと思いました」と渡部。だがこのプレーがチームに勇気を与えた。相手が履正社でも一歩も引かなかった。炎天下の中、延長戦に入っても集中力は切れなかった。

 「当たり前のことを当たり前にやる」-。生徒指導部にも籍を置く2001年度ロッテドラフト1位・喜多監督は人間教育を徹底した。野球を優先するのではなく服装、あいさつ、礼儀。その一つ一つを徹底させた。

 常に「敵は自分自身だぞ」と言い聞かせたことで、自滅がちなチームは変わった。どんな状況でもぶれない強い選手たちが呼び込んだサヨナラ勝利だ。

 決勝でぶつかる大阪桐蔭には昨秋の大阪大会で1-15の五回コールド負けを喫した。“打倒・大阪桐蔭”を掲げ、「一心でやってきました」と指揮官。約半世紀、閉ざされた夏の聖地へ。重い歴史の扉が今、開こうとしている。

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