巨人屈辱7被弾 ヤクルトは不気味な存在 高代延博氏「いい野球をしている」
「巨人6-14ヤクルト」(13日、東京ドーム)
ヤクルトが巨人投手陣に7本塁打を浴びせて快勝した。一見、豪快な野球で大木をなぎ倒したように見えるが、デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏はプレーの質に着眼。「ヤクルトは各選手がやるべき仕事を果たし、いい野球をしている」と評価した。
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巨人の投手陣が7発も浴びて、今シーズン最多の14失点とは。それにしても打たれ過ぎだね。
村上とサンタナが2本ずつ。山田、オスナ、吉田成がそれぞれ1本。それにしてもヤクルト打線は破壊力があって怖いね。
しかし、このパワー野球の陰に隠れて見過ごされがちだが、私にはヤクルトサイドの丁寧で、細かい野球が印象的に残った。
そのひとつは若い捕手の古賀。なぜ古賀を起用したのか正確な理由は知らないが、味のあるリードをする捕手だなと感じた。
それは初回、岡本和への配球に見られた。1ボール2ストライクからの4球目に、それまでの変化球による外角攻めから一転、直球で内角を突き、フルスイング(ファウル)された。
次の球を興味深く見ていると、もう1球、直球を同じ内角へ投げさせた。これがボールとなり、さらに6球目も同じコースへ同じ球種を要求した。
結果、真ん中の高めに浮いて一、二塁間を割られたが、山田が二塁キャンバス寄りに守っていたためで、定位置ならアウトの当たり。
奥川の最大の武器は速球。それを最大限に生かすためにスライダーやフォークをうまく使っていた。若くて実績に乏しいが、そのあたりのリード面を評価されての起用だったのかもしれない。
四回の打席では先頭打者として、岡本和の守備位置が深いと判断してバントヒットを試みて成功させた。周りを見ることができて機転の利く選手なのだろう。
四回はのけぞりながら投手の奥川が送りバントを決めたし、六回の青木の進塁打が追加点を生んだ。一見、豪快で大きな野球に見えるが、実際には各選手が自分の仕事をしっかり果たし、いい野球をしていると思う。
一方、巨人はサンチェスの不出来が大きかった。特に3発食らったあとの奥川への四球がダメ。2回で見切られるのも当然だ。
奥川の送りバントは2番手の桜井が、追い込んでいながら決められたもの。絶対に三振に打ち取らないといけない場面だけに痛かった。
ヤクルトのチームプレーはシーズン当初から変わらない。それと大器と言われる奥川の成長。適度な休養と間隔を挟んで起用する一貫した育成で順調に芽吹いている。
さてこの先だが、阪神や巨人とはゲーム差でさほど開いていないし、むしろ虎視眈々とトップを狙えるこの位置は気楽に戦える。影のような不気味な存在としてね。
マクガフを抑えに回して後ろが安定してきている。打線は申し分ない。先発投手次第では立場が変わってもおかしくないと思うね。