古豪復活を目指す呉港 元広島コーチの片岡新之介監督が熱血指導「勝たせたい」

 戦前には全国制覇を果たし、春夏通算11度の甲子園出場を誇る呉港が1963年春以来の聖地を目指す。チームを指揮する片岡新之介監督(73)は現役時代は阪神、阪急などで活躍。広島のコーチなどを経て、19年冬に呉港の監督に就任した。今春の県大会では惜しくも優勝は逃したものの25年ぶりとなる決勝進出。古豪復活の期待が高まっている。

  ◇  ◇

 1996年以来の決勝進出を果たした広島県春季大会は決勝で広島新庄に2-7で敗れた。54年ぶりの春優勝はならなかったが、古豪復活が近いことを印象づけた。片岡監督は「この子たちの頑張りを評価していただいたのは、明るい話題だった」と表情を緩めた。

 しかし、対戦の中で強豪校とのレベルの違いを実感。「まだまだ力の差がある。見ている人も、どっちに転ぶか分からないと感じるぐらいのチームにならないといけない」。春の経験を踏まえ、「打つ守るだけでなく、野球の細やかさを徹底させたい」と状況に応じたプレーができるよう思考力の大切さも選手に訴えてきた。打撃練習では「芯で捉える感覚をつかむために」木製バットを使うなど工夫を凝らしている。

 守りの中心は完投能力の高いエース右腕・尾崎元投手(3年)だ。下手からシンカーなど多彩な変化球を投げ込む。春季大会では1回戦から準決勝までの4試合で2完封を含む4完投。44回を投げ防御率2・25だった。夏の大会へ向けて「一戦一戦勝ち上がっていきたい。かわす投球ではなく、ガンガン攻めたい」と意気込む。

 打のキーマンは強力クリーンアップの中で4番に座る河野力内野手(3年)。「5本はホームランを打ちたい。どこよりも長い夏にしたい」とチームを勝利に導く一発を放つことを目標に掲げた。

 豊富な経験を買われ、19年冬に就任した片岡監督。プロ野球や社会人など数々のチームで指導を行ったが、高校球児は初めて。自身の孫も高校生ということもあり、接し方を学んでいるという。高校野球を自らの野球人生の集大成と話す指揮官は「楽しいね。(高校時代に)思い出を作って、大学や社会人でも野球を続けたいという選手が増えればいい。応援してやりたい」と目を細めた。

 目指すは63年のセンバツ以来となる甲子園だ。夏は37年以来となる。「選手たちを勝たせてあげたい」。熱血指導の下、春につかんだ自信をさらに大きく膨らませ、古豪復活を目指していく。

 ◆片岡新之介(かたおか・しんのすけ)1947年11月5日生まれ。岡山県出身。倉敷工から芝浦工大、クラレ岡山を経て69年度ドラフト5位で西鉄(現西武)に入団。阪神、阪急(現オリックス)の3球団で捕手として活躍。引退後は広島で87年から03年まで1、2軍のバッテリーコーチを務めた。その後、JR九州のコーチやMSH医療専門学校の監督を経て、19年12月に呉港の監督に就任。プロ通算成績は716試合に出場、344安打、打率・239、36本塁打、139打点。

 ◆呉港の甲子園出場

▽選抜大会

1933年(2回戦敗退)

1934年(1回戦敗退)

1936年(2回戦敗退)

1939年(2回戦敗退)

1963年(8強) 

▽全国選手権大会

1932年(2回戦敗退)

1933年(8強)

1934年(優勝)

1935年(8強)

1936年(2回戦敗退)

1937年(8強)

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