仙台育英・島貫 離れて暮らす父に届けた選手宣誓の晴れ姿 経験糧に夏で雪辱だ

 「選抜高校野球・準々決勝、天理10-3仙台育英」(29日、甲子園球場)

 準々決勝4試合が行われた。天理の193センチ右腕・達孝太投手(3年)が、今大会最多164球の大熱投で、優勝した97年以来24年ぶりの4強進出に貢献した。30日は休養日で31日の準決勝は天理-東海大相模、明豊-中京大中京の組み合わせで行われる。

 大会屈指の好投手、天理・達から二回には火の出るような当たりのセンターライナー、三回には一時同点に追いつく中犠飛と、仙台育英・島貫は目いっぱいのプレーを披露した。しかし、その口を突いて出る言葉のほとんどはチームや地域、周囲を配慮したものに終始した。

 東北地方を襲ったあの震災から10年。節目の年に、東北勢初優勝の期待を担ったチームの主将として、選手宣誓も行った。

 試合後の島貫は「宮城県、東北の方々からたくさん応援をもらって…」と悔しさを隠さなかった。昨年、センバツ中止となった先輩の「思いも乗せて戦った」が、この結果に「力が足りない。立て直さないと」と早速チームを鼓舞もした。どこまでも、キャプテンだ。

 福島県出身だが震災直後は山形へ避難、中学から宮城と故郷を離れた。野球の手ほどきをしてくれた父・健さん(52)の仕事の関係で別居が続き、これが一番、寂しかった。

 先月23日、選手宣誓が決まった抽選日が、健さんの誕生日。「お父さんの誕生日に(宣誓が)決まってうれしい」とLINEしたことを明かした。宣誓と、この3試合のプレー、見てもらえたかな。一瞬だけ、子供の顔をのぞかせた島貫はすぐさま「この経験を糧に」と、夏のリベンジに燃える仙台育英主将の顔に戻った。

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