磐城・木村前監督 聖地でノック「時が止まったような感じ」一度ついえた夢叶った

 「高校野球交流試合、国士舘4-3磐城」(15日、甲子園球場)

 夢のようなひとときだった。3月に退任した磐城・木村保前監督(50)が試合前のノッカーとしてコバルトブルーのユニホームに袖を通し、かつての教え子にノックバットで気持ちを込めていく。

 「人生の中でこんなに濃密な7分間を過ごしたのは初めての感じで。時が止まっているような感じでさせてもらって」

 4度の素振りの後、内野用と外野用の2本のノックバットを使って打ち分けた。この日のため、体はなまらせず。右手中指のテーピングが振り込んできた証しだ。「最高の準備ができるように」と一球一球に魂を込めた。

 恩師の思いを受け、試合では好守が随所に飛び出した。「こんなにファインプレーが出た試合はなかった。ノックのおかげだと思います」と主将の岩間涼星捕手(3年)。前指揮官はスタンドから眺め、「彼らの躍動する姿を見て本当に幸せ」と試合後は男泣きが止まらなかった。

 ナインとベンチで迎えるはずだった今春センバツは消え、異動でチームを離れた。3月末の離任式では涙のノック。名残惜しく別れたのが一転、関係者の尽力もあって甲子園交流試合でのチーム帯同が決まった。「この場で打たせてもらったことに感謝」。悲しみでいっぱいだった思い出を、聖地が最高の思い出に変えてくれた。

 ◆木村 保(きむら・たもつ)1970年8月8日生まれ、50歳。福島県いわき市出身。現役時代は右投げ右打ちの捕手。磐城では甲子園出場はなし。東京電機大に進学。94年に赴任した安達で監督就任後、内郷、いわき総合、須賀川の監督、部長を歴任。14~20年3月まで磐城を指揮。4月から福島商に異動し、福島県高野連副理事長を務める。

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