野村氏「サッチーさんは消えない」「劣等感が自分を支えた」「クロ現+」でメッセージ
11日に急逝した野球評論家・野村克也氏をしのんで、NHKは12日、「クローズアップ現代+ 野村克也さんに密着 最期の半年 家族とは」を放送した。昨年5月から今年1月まで野村氏を密着取材。「最期のメッセージ」として故・沙知代夫人への思い、選手として、指導者としての哲学、そして息子・克則氏への思いなど、多くのメッセージを残した。
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17年12月に先立った沙知代夫人について「支えだよ。生きる支え。家族がいるから頑張れる。家族がいるから耐えられる。家族あっての自分です。サッチーさんは消えない。永久に消えないよ」と話す。
沙知代さんが亡くなる直前に、手を握ったことを明かし、「奧さんの手のぬくもり。離れないよ。いつも握っている」と右手をじっと見つめた。墓前では「もうちよっと迎えに来るのをやめてくれよ。もう少し人生を楽しませてちょうだい」話しかけていた。
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テスト生で南海に入団。努力で地位を築いてきた。その原動力を「劣等感じゃない?劣等感が自分を支えてきたと思うよ。半端ない貧乏家庭に育ったから」という。
「二軍の練習の時に、『野手みんな集まれ、手を見せてみろ』と言われた。オレはマメだらけだから自信持って出した。『野村、いいマメ作って入るな。これがプロの手だ』と言われて。あのときは気分がよかったなあ」というエピソードを満面に笑みを浮かべて披露した。
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監督としては4球団で指揮を執った。その上で大事なことを問われ、「見つける、育てる、活かす」と即答。「どんな可能性があるのか。その可能性を引き出す、見つける事が人生そのもの。持って生まれたものだから、それを発揮したらいい。そういうことを見抜いてやるのも監督の手腕の一つ」と監督論を語った。
晩年は高校野球の指導者として甲子園に出場したい目標も持っていたという。「若い人には『夢をもって持って生きろ』というこの1点だけでいいと思う。『大人になったらこうなる』という明確な夢があると楽しいんじゃないの?オレの経験からいくとそうだ」と若者へのエールを送った。
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最期まで悩んでいたというのが克則氏との関係だったという。「いいおやじになれずにきょうまで来たと思うけど。おやじ像が浮かんでこない。おやじってどういう存在でいるべきかって想像つかない」と赤裸々に語る。
それでも克則氏が「お袋と野村監督の息子で良かった」と話す映像を見て目を細めた。「そう言ってもらえるのがいちばんうれしい。感謝されているとは思わなかった。何にもしてやれなかったから。ほっとしたな。背中で伝えたのかな」。
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野村氏はプロ野球の南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督を歴任。11日に3時30分、84歳で死去。死因は沙知代夫人と同じ「虚血性心不全」だった。



