大船渡・佐々木「投げたい気持ちあった」 出番なく終戦…令和の怪物夢散

 「高校野球岩手大会・決勝、花巻東12-2大船渡」(25日、岩手県営球場)

 グラウンドに立つことなく、聖地切符を逃した。最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手(3年)は花巻東との決勝戦に出場せず、チームは2-12で敗退。今秋ドラフトの目玉として、日本中の注目を集めた最後の夏。高校生の公式戦最速タイの160キロをマークしながら、甲子園出場という夢をかなえることはできなかった。

 プレーボールからゲームセットまで、佐々木の姿はベンチだった。マウンドどころか、代打や代走でも出場せず。最大の敵・花巻東に大敗し、最大の目標だった甲子園への挑戦は終わった。

 投げることも、打つこともかなわなかった大船渡での最終戦。しばらく黙ったまま「監督の判断なのでしょうがない」と絞り出した。一方で「高校野球をやっている以上、試合に出たいのは思うところなので。投げたいという気持ちはありました」と本音も吐露した。

 聖地まであと1勝に迫る中で、国保陽平監督(32)は「故障を防ぐため」と、朝の練習中にエースの出場回避を決断した。21日の盛岡四戦で194球、前日24日の一関工戦では129球。蓄積疲労に加え、この日は厳しい暑さとなった環境面。佐々木の体調面に細心の注意を払ってきた指揮官に、グラウンドに送り出すという選択肢はなかった。

 強豪私立を倒して甲子園-という夢を抱き、中学時代のチームメートの多くとともに地元・大船渡でのプレーを選んだ。入学後は故障がちだった弱さを克服しようと、地道にトレーニング。食事によるトレーニングも続けてきた。

 努力する姿は仲間にも輝いて映った。和田吟太投手(3年)は「授業の業間とかで、タッパーにごはん詰めて食べていたりとかは見ていて。あとは練習中の合間にも食べたりして太ろうとしていましたね」と振り返る。体幹が鍛えられたことで、最速163キロを計測するまでに成長した。

 「甲子園に行けなかったことが残念」と最後まで憧れの舞台には届かなかった。ただ、「大船渡を選んでよかった」と後悔はない。卒業路の進路については「今は考えていない」と明言を避けた。侍ジャパン高校代表候補にも選出されている逸材。無限の可能性を秘めた才能がしるした足跡は、決して色あせることはない。

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