智弁和歌山18年ぶり4強 黒川、劇的逆転サヨナラ打!壮絶打撃戦制した

 「選抜高校野球・準々決勝、智弁和歌山11-10創成館」(1日、甲子園球場)

 智弁和歌山が劇的な逆転サヨナラ勝ちで準優勝した2000年以来、18年ぶりの4強進出を決めた。最大5点ビハインドから九回に平田龍輝投手(3年)の左前2点適時打で同点。延長十回、黒川史陽内野手(2年)が左越えに逆転サヨナラ打を放ち、両チーム合わせて30安打21得点の壮絶な打撃戦を制した。準決勝は強打を誇る東海大相模(神奈川)と激突する。

 壮絶な打撃戦を決着させたのは余りにもシビれる一打だった。「野球の神様が見ていてくれた」。祈りを込め、放った打球を確信したように見つめる。最大5点差からの大まくり。最後は黒川が逆転サヨナラ打を劇的に決め、チームを18年ぶりベスト4へ導いた。

 笑っていた。「決められる自信があった。神様に頼んでいたので」。1点を追う延長十回2死一、二塁。聖地を包む緊張感を楽しむように黒川が打席へ。高めに浮いたチェンジアップをはじき返した打球は相手左翼手が差し出すグラブの上をわずかに越えるサヨナラ2点二塁打。両軍合わせて計30安打となった乱打戦の大トリを飾った。

 自分の中で“目印”がある。「『SSK』の看板があるんです。センターバックスクリーン左に。1打席目と最後の打席に(看板を見て)」。聖地に来てからのルーティンで、気持ちを整えた二回の第1打席では浜風にうまく乗せた左越えソロ本塁打。五回は押し出し四球を選び、劇勝の布石を打っていた。

 すがる思いで試みた。1、2回戦共に無安打と持ち味を発揮できなかった中、阪神などでプレーした中谷仁コーチ(38)からの「野球の神様が見てくれている」との言葉に救われた。部内で1番の練習量を誇る黒川を見てきた高嶋仁監督(71)も「(打撃練習で)状態がよくて、手がつけられないくらいだった」とうなずいた。

 越えたい壁がある。黒川の父・洋行さん(42)は上宮(大阪)の主将として93年センバツを制覇。横浜との2回戦ではくしくも同じ延長十回にサヨナラ打を放っている。「お父さんが打てるなら、自分も打てる」。当時の映像を見ていた黒川が父の姿と自分を重ね、結びつけた最高の結末。「父を超したい」と見据えるのは“父超え”だ。

 まだ通過点にすぎない。「自分が智弁(和歌山)にいる間に優勝したい」。中1日で挑む準決勝の相手は東海大相模。まずはセンバツVで父と並び、迎える夏でその背中を追い越してみせる。

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