楽天連勝 嶋V打!下克上勢い止まらん 梨田監督「やっと五分になった感じ」

 「パCSファイナルS・第2戦、ソフトバンク1-2楽天」(19日、ヤフオクドーム)

 二塁ベース上で、楽天・嶋は高々と右拳を突き上げた。同点の七回1死二塁。嶋はありったけの闘志をバットに乗せた。千賀の低め直球を叩き、値千金の1点をもぎ取った。連勝で2勝1敗。キャプテンの一打が、チームを勝利へと導いた。

 「簡単に追い込まれましたけど、ヒジリ(聖沢)が必死に走って、その気持ちに応えたかった」。七回先頭の聖沢が、ヘッドスライディングで遊撃内野安打。嶋にとっては国学院大の1学年後輩だ。その姿に、主将の心が動かされないはずがなかった。犠打で1死二塁と好機を広げ、嶋が期待に応えた。

 梨田監督も「ベテランのああいうプレーは尊い。チームに乗り移る。嶋も相当リードで苦労して疲れているのに、よく頑張ってくれた」と、気迫で勝利を手繰り寄せた2人を称えた。

 ファーストSから、小刻みな継投が光る。女房役の嶋のリードがあってこそだ。「裏をかいたり、いい配球をしてる」と梨田監督。嶋は「やられたらダメなリードだし、抑えたらいいリードになる。その紙一重のところで割り切っていくしかない。それがたまたま良い方に行っているだけ」と話す。

 星勘定を有利にした。それでも梨田監督は「これでやっと五分になったような感じ。先は長いですよ」と首を振るばかりだった。この日は、10月19日。現役生活の最終年、川崎球場での近鉄-ロッテのダブルヘッダーで悔し涙を飲んだ。「思い出しますね」。29年前は果たせなかった頂点をつかむ。

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