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山下智茂氏×履正社・岡田龍生監督対談【5】松井も寺島も…成長を促した「出会い」

握手を交わす山下氏(左)と岡田監督
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 星稜総監督の山下智茂氏(71)に、明治神宮大会で初優勝した履正社の岡田龍生監督(55)が、選手育成やチームづくりの理念を語った。「ロボットのように操縦されては何も考えられなくなる」と主体性を養う指導は、ヤクルト・山田、オリックス・T-岡田ら強打者を生んだ。山下氏も「出会いが打者を育てる」と自らの経験を振り返った。

  ◇  ◇

 -強打者を育てるには。

 岡田龍生監督(以下、岡田)「岡田は最初からプロへ行きたい言っていた。そのためにどうするかという話を受け入れる態勢ができていた。彼の野球は、99・9%打つしかない。中学の時は本塁打を打てば『よかったね』と親も指導者も喜んでくれるが、いい守備や走塁は誰も評価してはくれなかった。だからうちへ来た時は、内野ゴロ打っても一塁まで全力疾走しなかったりした」

 -そこを指摘した。

 岡田「野球って打つだけじゃなく守ったり走ったりしないかん。プロへ行きたいのに、一塁しかできんかったら外国人と勝負せないかん。だから外野で守備も走るのもできます、打ったら高校生としてはレベルが高いとなれば、プロへ行けるんじゃないかと話をしました。すると意識が変わって。最後は盗塁サインを出していないのに走っていた。自分で行こうという意欲があった。それを見て安心しました」

 山下智茂氏(以下、山下)「松井にも段階がありました。機会ごとにいい投手との出会いがあった。(92年センバツで)堀越の山本(幸正)の内角低めのスライダーを本塁打したとか。松商学園の上田(佳範)を1年秋に打てなくて、めちゃめちゃ練習したとか。出会いが打者をすごく育てる」

 岡田「堀越戦の本塁打は僕も見ました。膝元のスライダーですよね。ヘッドが立ってポンと打った。全然開かずにすごい本塁打でした。高校生でこんな本塁打打てるのかと思いました。木のバットでも本塁打になっているような打ち方でしたね」

 山下「その前に同じスライダーを三振したんです。それで、スライダーを打ってこいと言ったら打ってきた。あれであいつはプロだなって思いました」

 岡田「岡田はとにかく本塁打へのこだわりがすごかった。4打数4安打でも本塁打が打てないと、何があかんのですかって聞きに来るようなやつです。ええんや、それが安打になって本塁打になるからと言っても(結果が)本塁打じゃないとあかん。いくらいいヒットを打っても、本塁打じゃないとあかんかったんです。私もあいつはホームラン打者だと思っていた。王さんや田淵さんみたいな、本塁打王を獲れると。山田は全く思ってなかったけど」

 山下「今年のエースの寺島君は精神的にもすごいと思ったんだけど。プロ向きの性格ですよね」

 岡田「外から見たらそうなんですけど、どちらかと言うと幼いんです。体は大きいし、頭はいいんですけど、幼稚な部分があった。もともとはリトルで清宮くらい本塁打を打っていた超有名選手で、お山の大将でずっと来ていたんです。でも(1年上に)永谷、溝田の(センバツ)準優勝の2投手がいた。あの2人は自分で練習できていたので、それを見ていたのがよかった」

 -主将も務めた。

 岡田「いろんなことが初めてだった。周りを見ないとあかん、声かけせなあかん。そういうことを学習できたことがあいつの成長につながった。自分がエースで4番で主将で、勝てると思った(2年)秋の大会で3位決定戦で(阪南大高に)完封負け。チームは8月から負けてなかったのに、ここで頭を打った。それからチーム全体も寺島も人間的に成長しました。投手だからゲームキャプテンと練習のキャプテンと分けて、試合の時は100%集中できるようにしてやろうとした。この発想がチームにもプラスになりました。一人がレベルアップしてもそれほどチーム力は上がらないけど、みんながちょっとずつレベルアップしたので組織だって野球ができるようになった。寺島の人間的な成長は、技術の伸びにもすごい影響を及ぼしたと思います」

 山下「松井は何しろおとなしかった。チームの軸になってほしいと初めて主将に私が指名したんです。それまでは選挙でやっていたけど。主将をやってからは、一番最初にグラウンドに来てトンボをかけて、一番最後にトイレ掃除して帰る。背中で引っ張るようになった。松井があれだけやるんだから、自分たちもやらないかんとチームがすごく強くなってきた気がしました」

 岡田「安田もそうなんです。主将を若林、副主将を安田にして変わった部分がある。今までは上級生の中で気楽にやっていたのが、今度は自分たちがしないといかんと思っているようです」

 山下「神宮大会で優勝すると、センバツではマークされるね」

 岡田「(一昨年の)センバツで龍谷大平安に負けて以降、甲子園は優勝するしかないと思っています。準優勝はもういいと。その下の目標設定はないんです」(終わり)

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