日本ハム劇的王手 西川サヨナラ満弾!日本S史上2人目24年ぶり

 「日本シリーズ・第5戦、日本ハム5-1広島」(27日、札幌ドーム)

 劇的なエンディングが待っていた。同点の九回2死満塁から、日本ハム・西川遥輝内野手(24)が、右越えにサヨナラ満塁本塁打。敵地での連敗から本拠地で3連勝を飾り、10年ぶりの日本一に王手をかけた。勝利監督インタビューで涙した栗山英樹監督(55)が、就任5年目で大輪の花を咲かせる。

 熱い思いを抑えて冷静を保った。九回2死満塁。中崎の直球をフルスイングした打球はファイターズファンの夢を乗せ、右翼席へ突き刺さった。一塁を回り、西川は両拳を何度も握り締めた。劇的すぎるサヨナラ満塁本塁打。地鳴りのような大歓声の中、本塁を踏み締めると、取り囲んだチームメートたちに頭を思い切りたたかれながら絶叫した。

 地元・札幌ドームの万雷の拍手の中で上がったお立ち台。「僕も何が起きたか、分からないくらい興奮しています。叫びすぎて喉がかれてしまいそうなくらいです」。第1戦の第4打席以来となる19打席ぶりの安打が、殊勲の一発。紅潮した顔が興奮の度合いを物語った。

 先輩のためにも-という思いで打席へ向かった。2死一、三塁。岡が臀部(でんぶ)に死球を受けると、両軍選手がベンチを飛び出し、一触即発の状態に陥った。

 「岡さんがああいう形でデッドボールを受けて、燃えるものがあった」。それでも満塁での打席に備え、にらみ合いの列には加わらなかった。「打席に立ち遅れることだけは嫌だった」。冷静に中崎の投球を回想し、劇弾を生んだ。

 今季、リーグ2位の打率・314をマークした裏側には、昨年の挫折がある。昨年9月13日、2年連続盗塁王のタイトルを争いながら、打撃不振で2軍落ちを通告された。栗山監督は言う。

 「遥輝(西川)に求めているものはそんな小さなもんじゃない。あいつは山田を超えられる存在なんだ」。同い年の2年連続トリプルスリーを超えられる選手に大きく羽ばたいてほしいからこその荒療治。指揮官はこの日の活躍に「野球の神様は苦労しているヤツを見てくれている」と目を潤ませた。

 日本シリーズでのサヨナラ満塁本塁打は、92年のヤクルト・杉浦亨以来2人目。くしくもその年に西川は生まれた。敵地での連敗から、本拠地で飾った3連勝。第6戦は広島に舞台を移す。ヒーローは最後に「早く決めて札幌に戻ってきます」と高らかに日本一を宣言した。

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