中日吉見「奇跡」感慨1年ぶり勝利

 「中日5-1巨人」(22日、ナゴヤドーム)

 勝利の瞬間、先頭で野手を出迎える。中日・吉見一起投手の表情には満面の笑みがこぼれる。「いろいろあってもうダメかなと思う時もあった。これまでの勝ちの中で、きょうが一番うれしい」。昨年5月9日・ヤクルト戦(秋田)以来約1年ぶりの白星にどっぷりと浸った。

 ピンチから始まった。一回無死二、三塁。だが、ここからが吉見の真骨頂。坂本、クルーズ、村田を打ち取って先制を許さない。以降も走者を出しながら要所を締めて、5回1失点。「僕らしいというか…。粘り強く投げられた」とホッとした表情を浮かべた。

 2013年に右肘靱帯(じんたい)修復のトミー・ジョン手術を受けた。昨春に1軍復帰も途中離脱。10月には再び右肘にメスを入れた。順調に調整を進めて開幕を迎えたが、ここまで先発4試合で白星なし。森ヘッドコーチの助言で腕を縦に振り、ボールをより前で放つフォームに修正。それが功を奏した。

 「野球ができているだけで奇跡。きょうは昔の自分を思い出しながら投げられた」。自分とは何か-。それをマウンドで表し、勝ち取った復活星だった。

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