「パＣＳ第１Ｓ第３戦、オリックス１‐２日本ハム」（１４日、京セラ）

　神様の一打が劇的勝利を呼び込んだ。０‐１の六回１死一、三塁。現役引退を表明している日本ハム・稲葉が、代打で同点の適時打。仲間と勝利のハイタッチを交わし「もう少し、ユニホームを着ていられる。そんな喜びですね」と、実感を込めた。

　大一番の重圧に苦しむ後輩たちを救った。五回まで再三の好機を逃し続け、１点が重くのし掛かる嫌な展開。「早めに行くから準備しておいてくれ、と監督にも言われていた」。西のフォークを右前にはじき返し、試合を振りだしに戻した。

　ファーストＳの第２戦でも代打で適時打。勝負強さが際立っているが「僕も緊張していますよ。たまたまです」と謙遜。だが、頼れるベテランの姿に栗山監督は「稲葉のすごさをあらためて感じた」と最敬礼だ。

　チームは稲葉の弟分、中田の勝ち越しソロでファイナルＳへ進んだ。稲葉は「監督が言うように、次のステージも全員で戦っていきます」と決意。４２歳の戦いは、まだ終わらない。