仙さんM28点灯で阪神との日本S熱望

 「オリックス1‐2楽天」(28日、京セラ)

 首位楽天に球団創設9年目で初めてとなる優勝へのマジックナンバーが「28」で点灯した。楽天がオリックスに勝ち、ソフトバンクがロッテに敗れたため、楽天以外のチームに自力優勝の可能性がなくなった。楽天は残り33試合のうち28勝すれば、92勝51敗1分けで勝率・643となり、他のチームは残り試合を全勝しても勝率で上回れなくなった。

 球史に残る大きな1勝だ。球団創設9年目にして、初の優勝マジック28が点灯。星野監督は「いいんだよ、そんなことは!」と無愛想に言い放ち、マジックの話題を封印した。だが、その鋭い視線の先には、はっきりと頂点を捉え始めた。

 難敵の金子に対し今季を象徴する逆転劇で白星を奪い取った。三回までは無安打で4三振。完璧に封じ込まれていたが、円陣を組んだ四回に反撃開始。主砲ジョーンズの同点ソロで、まずは劣勢ムードをかき消した。

 六回、1死二塁の好機に、銀次が初球のカーブを中前適時打。「魂で打ちました!」と仲間を鼓舞すると、4投手の継投で1点のリードを守り、リーグトップ28度目の逆転劇を完結させた。星野監督は「そんなにKOできるピッチャーじゃない。投手戦になったから良かった。粘り勝ちだね」とうなずいた。

 試合前、星野監督は「周りにどう言われようが、こいつはいいと思うやつは使い続ければいいんだ。信念だよ」と話していた。昨季、幾度のミスにも目をつぶり、起用を続けてきたのが、今季ブレークを果たした銀次。星野イズムをたたき込んだ“愛弟子”が、またも期待に応えてくれた。

 闘将には野望がある。このオリックス3連戦を前に「阪神、勝たんかな。阪神が勝つと燃えてくるわ」と拳を握った。阪神と日本シリーズで対戦することが究極の目標。「うちがそこまで行けるかだけどな。やりたいな」。大阪の地で、その決意をより強めた。

 中日、阪神で優勝を経験。百戦錬磨の星野監督は「修羅場に持って行くのが俺らの仕事なんだ。まだ、ふた山はあるよ」と言い切った。慢心はない。修羅場を知り尽くす闘将の戦いが、ここから始まる。

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