ロサリオが打ち出す時期は…
【5月26日】
阪神球団は冷静に危機管理をしている。低迷するウィリン・ロサリオを論じて一昨日の当欄でそう書いたら、我が社の後輩から尋ねられた。「あれ、どういう意味ですか?」。ボヤかしたつもりはなかったけれど、分かりづらかっただろうか。危機管理。そのまま理解してもらえればと思う。
キャンプから絶賛されていたロサリオがもしも期待外れだったら…。あたふた放心していてはお話にならない。阪神のフロントは然るべき「代役」のリストアップを怠っていないという意味である。
ロサリオはメジャーや韓国で抜群の実績がある。だからといってもう今年は安泰や!なんて、高笑いしていなかったということだ。
この日、金本知憲はついに断を下した。今季43試合目にして初めてロサリオに代打を送ったのだ。
場合によってシーズン途中でロサリオに見切りをつけることがあるのか。場合によっては「ある」に決まっている。だって「主砲」「得点源」として獲得したのだから。成績が伴わなければ、指をくわえて海の彼方を眺めている場合ではない。ドライに動くのがフロントの職責だし、その動きを見抜くのが番記者の仕事。これ、とくにタイガースに限ったことではない。巨人だって、カープだって、新規支配下登録の期限7月31日までは、その可能性を否定しない。
でも、ホントにロサリオはダメなのか。日本野球に適応できないのか。まず、そこを見極めないといけない。じゃあ、いつまで??実は、これが難しい。もちろん補強期限があるので、彼の浮上を無制限に待つわけにもいかない。
そこで3カ月前の取材を振り返ってみたい。当コラムをずっと読んでもらっている読者は覚えがあるだろうか。韓国ハンファ・イーグルス時代にロサリオを特命指導した正田耕三の証言を…。
あれは2月半ば。現在、韓国起亜タイガースの打撃コーチを務める正田を沖縄で直撃した。行数の限りがあり、あの時書き切れなかったコメントを加筆してみたい。
「ロサリオが韓国へ来て1年目に指導したんだ。当時のキム・ソングン監督から『あいつ全く言うこときかないから、お前が面倒見てくれ!』と言われてな。最初見たときは、外の球はまったくダメだった。2~3カ月の間は苦しんでたよ。あいつにはよく言った。『外のボール球をいくら打ってもヒットにも長打にもならない。よく考えてみなさいよ』と…」。
苦しんだのは初年度の2~3カ月…。正田の証言をそのまま当てはめるなら今は我慢のときか。ここまで打率・226、4本塁打。指導、アドバイス如何で向上するなら、その時を待ちたいが…。
「『下半身を使って全部ホームランを打つくらいのイメージでいけ』と助言したよ。教えて1週間くらいして打ち出したな。何か掴んだんだろう。あとは…『打てないなら、四球でも選んで貢献する気持ちを忘れないように。我慢すること』とも言ったよ。あいつが打ち出した時期??5月の終わりくらいだったな」-。=敬称略=