特別だった巨人戦…打たにゃいけん理由

 金本知憲氏がプロ野球人生の秘話を語る連載「21年間の舞台裏」。14話は21年間の野球人生で忘れられない巨人3連戦の記憶です。01年8月に2度あった広島での巨人戦は、中旬に3連戦3連敗を喫し、月末の同カードで雪辱に燃えた。期する理由があったのです。

 ジャイアンツ戦は特別なものでした。僕がカープにいたころ、広島市民球場は、盆とゴールデンウィークと週末のジャイアンツ戦しか満員にならなかった。年に数回のことなのでカープの選手はみんな燃えていました。

 連続無併殺打の新記録をつくった01年は、長嶋茂雄監督率いるジャイアンツと若松勉監督のスワローズが終盤まで優勝を争ったシーズンでした。この年、カープは山本浩二監督が8年ぶりに復帰したのですが、4年連続Bクラスの4位に終わった。自力優勝が消えたあとは、満員のお客さんの前でジャイアンツに勝つことが大きなモチベーションになっていました。

 このシーズンは、21年間の現役生活で特別な年になりました。8月31日から9月2日までのジャイアンツ3連戦です。初戦に上原浩治投手から逆転ホームランを打って、無併殺打の日本記録を塗りかえたことは前回触れました。2戦目は河原純一投手から2本のホームランを打って連勝です。2試合で6打点。燃える理由がありました。

 半月前のジャイアンツ戦(広島市民球場)で3タテを食らいました。同じ月に2度も満員の地元ファンの前で恥をかくわけにはいかない。雪辱を果たしたい。勝たなければいけない。そんな思いでいっぱいでした。僕は新聞記者からの取材で「次の3連戦は絶対にやり返す」と答えました。

 浩二さんが僕のコメントを聞いたのでしょうか。「優勝は苦しくなったけど、4番の金本がそういう気持ちを持って戦ってくれるのは、チームにとって非常にありがたい」。監督のそんな言葉が新聞に載っていたことを覚えています。

 当時は公式記録員が最も印象に残った選手を勝利チームから選ぶMEP(Most Exciting Player)賞という表彰制度がありました。僕はそのジャイアンツ戦で2試合連続MEP賞を獲得しました。宣言通り、3連勝しか考えていませんでした。

 個人的にも、プロ通算1000本安打まであと1本に迫っていた3戦目。そして…何よりも僕にとっては絶対に打ちたい、打たにゃいけん理由がありました。試合前、家族から連絡があったのです。「きょう、生まれそうだよ…」と。

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