阪神を勢いづける「2番・中野」のつなぎ 入団以来5年連続出場の短期決戦「1点が大事になる」

 守備練習で軽快に動く中野(撮影・西田忠信)
 練習の合間に笑顔を見せる中野(撮影・西田忠信)
シートノックでカットに入る阪神・中野拓夢=甲子園(撮影・山口登)
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 ポストシーズンの10月に活躍する選手の代名詞「ミスター・オクトーバー」になるのは誰か。デイリースポーツの阪神担当記者がイチ推し選手を紹介する企画の最終回は、入団から5年連続でCSを戦う中野拓夢内野手(29)を取り上げる。

 毎年ポストシーズンに挑んできたからこそ、短期決戦の難しさ、怖さ、そして、戦い方も熟知している。リーグ屈指の破壊力を誇る猛虎クリーンアップへつなぐ仕事が求められる“不動の2番”中野。「1点が大事になるので、細かい作戦とかも普段より多くなると思います」とCSへの覚悟を示す。

 リーグ最多となる44犠打を決めた今季。リーグ2位の496得点の礎を作る機会が多かった。近本出塁を受けての打席は、CSでも何度も巡ってくるであろう場面だ。

 「細かいところも(作戦で)出ると思うので、それを決めるか決めないで、勢いが変わってきますし。そういう小技がより一層大事になってくる」。ひとつの勝敗が大きく運命を分けるポストシーズン。1点の重みを理解しているからこそ、自身に課せられる役割を胸に刻む。

 先手必勝の重要性も肝に銘じる。「初戦を取るか取らないかで、だいぶ大きく変わってくると思うので」。その言葉通り、過去のポストシーズンでは“初戦”に強さを見せてきた。22年のCSファーストS初戦で4安打の固め打ち。23年の日本シリーズ第1戦では3安打2打点で白星発進に貢献した。

 15日に迎える初戦。CSファーストSを連勝で勝ち上がってきたDeNAの勢いを断つことも、大きなポイントとなる。「(実戦の)期間が空くので初戦の入り方は難しくなってきますけど、そこをなんとか取れるようにやっていければ、残りの試合も流れ良くいける」と栄光への道筋を思い描く。

 プロ入り前にトーナメントを戦っていた経験も強みになっている。「1試合への思いというか、短期決戦は社会人野球からやってきたことではあるので。そういう舞台で力が発揮できるのかもしれないです。あまり自分では意識したことないですが」。頼もしい言葉でポストシーズンへの適性を示す。

 「プロでもCSや日本シリーズを経験できてるのは大きい。そういう試合の方が楽しい、という気持ちで野球もできてるので」。日本一を目指す“特別な戦い”だとしても、肩肘張ることはない。心身ともにコンディションを万全に整えて臨むだけだ。

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