阪神・ネルソン 適応力で米PSの経験生かす CSまでの間隔戸惑いも「時間をかけて準備」
ポストシーズンの10月に活躍する選手の代名詞「ミスター・オクトーバー」になるのは誰か。トラ番記者がイチ推し選手を紹介する企画の第2回は、アメリカでもポストシーズンの経験がある、ニック・ネルソン投手(29)を取り上げる。
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自身初となる日本でのポストシーズンへ、ネルソンは気持ちを高ぶらせている。「甲子園のお客さんがどれだけ熱狂的になるのかが楽しみ。そこで投げられたらいいなと思う」。虎党の大歓声を背に受け、マウンドで躍動する姿を思い浮かべていた。
メジャー時代には2度、ポストシーズンを経験。日本特有の期間に戸惑いもある。メジャーではレギュラーシーズン終了2日後には、ワイルドカードシリーズが始まる。「正直空きすぎるなって思う部分もある」とリーグ優勝チームが約2週間、公式戦から離れることには驚いた。
それでも、ダブルヘッダーをこなすなどタイトな日程を消化し、直後にポストシーズンが始まる厳しいスケジュールよりは、体の面での負担は少ない。「休むところは休んで、時間をかけて準備できることもある」と前向きに捉え、調整を進めている。
来日1年目となった今季は、キャンプから中継ぎとしてスタート。オープン戦での故障もあり、開幕は2軍で迎えた。5月に1軍に昇格してからは、安定した投球を続けたが、夏場に調子を落とし降格となった。
ただ、メジャー時代もマイナーと行き来するなど、苦労の多かった男は、簡単にはめげず、自らと向き合った。さらにそのタイミングで、手続きの関係で遅れていた家族が来日。「抹消されて家族と過ごせた。いい時間になって気持ちを切り替えることができた」と精神的にも余裕ができた。
シーズン終盤の9月からは先発に転向。「過去に経験があったから焦ることはなかった。全くやったことのないことを、するわけではなかったからね」。適応力の高さも見せ、ポストシーズンの戦力として、名乗りを上げた。
デュプランティエやビーズリーといった、同郷の選手の支え。さらには日本人選手とも打ち解け「いい友達ができた」と充実の日々を送っている。「みんなと野球をしていて楽しい。まだ早いけど、来年も(日本に)帰ってきたいと思ってます」。すっかり心は虎戦士だ。
2年ぶりの日本一を目指す戦いが迫る。「言われたところで全力で腕を振ろうと思っている。出し切ります」と気合十分。任されたマウンドで自らの役割を果たすだけだ。(デイリースポーツ・滋野航太)
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