阪神M6 熊谷「びっくり」バンテリンでプロ1号 8年目232打席目「セカンドベース回って気づいた」
「中日3-5阪神」(2日、バンテリンドーム)
敵地に響いた歓声をバックに、爽やかな笑顔が実に映える。阪神・熊谷敬宥内野手(29)が、2点リードの三回1死一塁から左翼席へプロ初アーチを放った。大卒8年目、通算232打席目での待望の一発。3連勝で貯金は「30」となり、優勝マジックも1つ減って「6」に。いぶし銀の活躍が光る男が大花火を打ち上げ、優勝への道筋を明るく照らし出した。
武器の俊足は封印し、熊谷は悠々とダイヤモンドを一周した。「あんまり慣れてないんで、普通にダイヤモンドは回っていました。別に何にも考えずに」。一塁ではなくホームで筒井コーチとヘルメット同士をコツン。チームメートもびっくりだが、誰よりも本人が驚いていた。
「行くと思わなかったんでびっくりした気持ちですけど、本当にうれしかったです」
佐藤輝の一発の余韻が残る三回1死一塁、「後ろにつなごう」と打席へ。フルカウントとなりコンタクト重視で振り抜いた7球目だった。マラーの内角低めカットボールをうまくすくい上げた。
歓声の中、白球がぐんぐん伸びる。そして左翼スタンドギリギリに飛び込んだ。「越えるかなと思ったんですけど、入るとは思ってなかったので。セカンドベース回って気づいたかなって感じです」。驚きの一発は通算232打席目でのプロ1号に。思わぬ2点の援護に、村上も笑顔で拍手を送った。
熊谷の進化を、今春キャンプで和田1・2軍打撃巡回コーディネーターは感じていた。「ティーでボールを上げている時、バットの軌道が明らかに変わっていた。センター方向を意識して、バットの角度が変わって。これなら打てるなと」。これまでは、きれいなヒットを打つタイプだったというが、「今は本当に食らいついている」とも変化を明かす。
昨季まで守備、走塁を評価され1軍に起用されてきた熊谷。「『ずっとそれじゃ』という思いもあったんだろうね。技術プラス気持ちが結果につながっている」と和田コーディネーターはその強い覚悟も活躍の要因と感じている。
五回には左前打も放ち、2安打2打点と躍動した。8月に入り出場8試合連続安打を放つなど、守備走塁だけでなく打撃で貢献。直近は6試合連続スタメンを勝ち取り、日に日に存在感が増す。チームの優勝マジックも1つ減り6に。それでもヒーローは謙虚に話した。「僕にとっては一日一日大事なので。常に結果を求めてやっていくだけだと思うので。また明日も出たら頑張ります」。9月2日。“球児の日”に“球児チルドレン”がまばゆい光を放った。
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