【谷佳知氏の眼】持ち味が出ていた決勝打の熊谷 チームの競争はより激しくなる
「ヤクルト1-3阪神」(22日、神宮球場)
阪神が延長にもつれ込んだ接戦を制し、ヤクルト戦通算1000勝に達した。優勝マジックは1つ減り、「19」となった。同点で迎えた十回は1死から大山、高寺が連打。坂本が四球でつなぎ、満塁から熊谷がしぶとく中前へ決勝打を放った。デイリースポーツ評論家の谷佳知氏は熊谷について「持ち味がよく出ていた、チームの競争はより激しくなる」と称賛した。
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決勝打を放った熊谷からはなんとかバットに当てよう、食らいつこう、という強い思いが伝わってきた。
十回1死満塁で三振を狙って石山が続けてきた外角低めへのスライダーをファウルにし、見極めて、最後はバットを投げ出すようにして中前に転がした。昨季まで代走や守備固めを中心に1軍で経験を積んできた選手。ゲームの流れをよく分かっているし、自分にできることを十分に理解しているから、ああいう場面で必死に、泥くさくプレーできる。熊谷の持ち味がよく出ていた一打だったと思う。
近本、中野、森下、佐藤輝、大山の1~5番に坂本を加えた6人が不動のレギュラーとなっている中で、遊撃と左翼はまだ固定されていない。誰にも定位置獲りのチャンスがある状況だ。優勝マジックを順調に減らしている今、藤川監督も熊谷に小幡、高寺、前川、中川らを代わる代わるスタメンで起用し、競争を促している。
若手選手とは違い、熊谷は大卒8年目で1軍公式戦に数多くベンチ入りしており、経験値という意味では一日の長がある。元々、内外野の安定した守備力と走力はチーム内でも屈指。試合に出続ける中で打席数をこなし、この試合のような「しぶとさ」がもっと出てくれば、競争も激しくなるし、より面白い存在になってくるだろう。
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