阪神・佐藤輝 史上初の長打3冠挑む 長嶋茂雄は踏み忘れ事件さえなければの珍記録 2部門なら過去22度

 3冠王を目指す阪神の佐藤輝明内野手(26)が、プロ野球史上初の「長打3冠」にも挑んでいる。同一年に本塁打、三塁打、二塁打の3部門全てでリーグ最多を記録した選手は、過去に一人もいない。不動の主砲に成長した佐藤輝に、もう一つのトリプルクラウンへの期待が膨らむ。

 佐藤輝はここまで31本塁打を放ち、初のキングがほぼ確定。二塁打も26本でトップを快走している。残る三塁打は4本で、首位岡林(中日)の5本を追っており、偉業達成の可能性は十分だ。

 過去には、長打3部門のうち2部門での最多ですら22度しかない。「本塁打&二塁打」という組み合わせが最も多く11度。直近は23年の近藤健介(ソフトバンク)で、阪神でも掛布雅之が82年に達成した。これに次ぐのが「三塁打&二塁打」の9度。阪神では高卒2年目の藤田平が67年に成し遂げた。

 2度しかないのが「本塁打&三塁打」で、47年の大下弘(東急、現日本ハム)と95年の小久保裕紀(ダイエー、現ソフトバンク)のみ。ゆっくりベースを一周できる本塁打と、全力疾走を求められる三塁打の組み合わせは、当然ながら難度が高くなる。今季の佐藤輝が仮に二塁打で1位を譲っても、この2部門で最多となれば史上3度目の珍しい記録となる。

 ところで、思わぬ形で「長打3冠」を棒に振った選手がいる。58年の長嶋茂雄(巨人)である。立大から入団したスーパールーキーは打点王に加え、29本塁打でタイトルを取り、34二塁打もセ最多だった。ところが三塁打は8で、最多の田宮謙次郎(阪神)9にわずかに及ばなかった。

 長嶋はこの年9月19日の広島戦(後楽園)で柵越えを放ったが、一塁ベースを空過しアウトとなった。もし踏み忘れたのが一塁ではなくホームベースだったとしたら、記録は三塁打。そうなると田宮と並んでセ最多となり、プロ野球初の長打3冠を達成していたことになる。

 もっとも、このとき全ての塁をきちんと踏んでいれば本塁打は30本に増え、打率は・307となり、盗塁37と合わせてトリプルスリーを達成するところだった。新人選手、そして巨人選手のトリプルスリーは、いずれもまだ出ていない。意外な運命の分かれ道であった。

 今季の佐藤輝はチーム3位の10盗塁と、足も使える。外野を豪快にたたき割った打球で果敢に三塁を陥れれば、長打3冠が見えてくる。ONをはじめ、歴代の強打者たちが成しえなかった快挙は、手を伸ばせば届くところにある。

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