阪神・大山 通算1000安打も痛恨悪送球で楽勝ムード一転「今日はエラーが全て」5点差リードからサヨナラ負け
「巨人6-5阪神」(21日、東京ドーム)
最高の節目になるはずやったのに…。阪神の大山悠輔内野手(30)が三回に左前打を放ち、通算1000安打を達成。五回には1001安打目となる5号2ランを放った。前半戦最終戦は楽勝ムードだったが、5-0の七回に自身の適時失策が絡んで同点とされ、九回にサヨナラ負け。今季初めて5点リードを守れず、巨人戦の連勝は5で止まった。それでも2位・DeNAと9・5差。球宴を挟んで仕切り直す。
何よりも勝利を優先する大山にとって、悔いが残る敗戦だった。自身のミスが5点リードを吐き出すきっかけとなって、チームは逆転負け。節目の一打について問われると、反省の言葉だけが口をついて出た。
「いや、今日はエラーが全てなんで。前半戦終わりっていう大事な試合で、あそこのエラーで全て変えてしまった。すごくチームに申し訳ないですし、(白星が消えた伊藤)将司に申し訳ないです。本当に申し訳ない」
5-0で迎えた七回だった。4点差に迫られ、なお無死一、三塁。泉口の一ゴロを捕球後、本塁へ悪送球してしまう。適時失策で3点リードとなり、1死後にネルソンがリチャードに同点3ランを被弾。九回のサヨナラ負けにつながった。とても自身の快音を喜べる状況ではなかった。
ただ、試合を優位に進めるきっかけをつくったのも事実だった。三回1死。3ボールから井上の直球を捉えて左前へ運んだ。2016年度ドラフト1位で入団して9年目。球団28人目の通算1000安打に到達した。一塁上で記念ボードを受け取ると、口角を上げて客席へ丁寧に頭を下げた。
五回無死一塁は井上のスライダーを捉えた。1001安打目は左越え5号2ラン。いつもと変わらず淡々とダイヤモンドを走り、仲間とのハイタッチでは優しく笑った。
今季は序盤に苦しんだ。開幕時は昨季と同じ、ほとんど左足を上げないすり足打法。打率2割前半をさまよい、4月半ばに打撃フォームを変えた。「いろいろ考えながら」と22、23年と同様に左足を高く上げる形に戻し、力感あるスイングで試合に臨んでいる。
自ら考え抜くのが大山のスタイルだ。打撃フォームは映像を何度も見返すなど研究を重ねた。その姿に小谷野打撃コーチは「彼くらいになれば元に戻すこともできるし、その時の体のバランスで選択を間違えない」と信頼を寄せる。
試合には万全の準備で臨む。各自アップでは短ダッシュを何本も行い、打席に入る前は全力スイングを2、3回行う。「監督も準備の大切さというのを常に言っている。そこを特に自分でも意識していきたい」。導き出したルーティンでリズムを取り戻し、7月は9試合連続安打を記録。打率・262まで上昇した。
徐々に状態を上げてきた中、今季初の5点差逆転負けの一因をつくり、巨人戦の連勝は5で止まった。それでもチームは貯金18で2位・DeNAと9・5ゲーム差だ。
九回、大山は吉川のサヨナラを決める打球が中前で弾むと、うつむいてベンチへ戻った。残り53試合の後半戦。この日味わった屈辱を無駄にはしない。
◆通算1000安打 阪神の大山内野手が21日の巨人⑱戦(東京ド)の三回に井上から左前打を放って達成。プロ野球324人目。初安打は17年7月1日のヤクルト戦で原樹から。
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