阪神・百崎“懲罰交代”糧に初1軍目指す 4・20広島戦、遊撃守備ミスで試合中2時間半特守「あれから意識が変わった」
阪神2軍の注目選手を取り上げる企画「飛び出せ大物」。第6回は高卒2年目の百崎蒼生内野手(19)を取り上げる。高卒2年目の今季は一時、ウエスタン首位打者に躍り出るなど打撃では成長を見せている。“懲罰交代”という悔しい経験を糧に攻守に磨きをかけ、1軍初昇格を目指して奮闘する若虎の現在地に迫る。
着実に成長を遂げている。百崎は1年目の昨季はウエスタン74試合で、119打数22安打で打率・185にとどまった。打撃が持ち味という触れ込みで入団したが、プロの壁にはね返された。
だが今年は一変した。一時、打率・347でウエスタン首位打者に躍り出た。昨年との違いは「以前は足を上げていたから前に突っ込みやすかった。すり足にしてから打てるようになった」。1年目の経験を基に、オフにコーチと打撃改良に取り組んできた成果が結果に表れた。
ここまで59試合に出場。まだ6月ながら昨年の出場試合数に迫っている。今季は遠征帯同が増えたのもチームからの期待の証しだ。「遠征はしんどいけど、成長材料になっている」と手応えを口にする。現在は打率・293と少し調子を落としたが、「疲れで(バットが)振れなくなってきたので、振らなきゃって思ってやっています」と努力を惜しまない。泥くさく練習に取り組んで体力面でも底上げを目指している。
プロの厳しさを実感した出来事があった。4月20日のウエスタン・広島戦(SGL)に「1番・遊撃」で出場。簡単なゴロを後逸するなど2つのミスを犯し、三回の2打席目に代打を送られた。
“懲罰交代”となった後はサブグラウンドへ移動。試合中にもかかわらず、馬場2軍守備走塁コーチと2時間半にも及ぶ特守を行った。「悔しいです…」。絞り出すようにつぶやきグラウンドを後にした。
首脳陣からの厳しさは愛情の裏返しでもあった。山崎2軍内野守備走塁コーチは「1軍で守備がこうなってしまったら勝てない。1球が命取りになることを肝に銘じなきゃいけない」と期待するからこそ、経験を糧にすることを願った。
苦い経験から2カ月が経過した。「あれから意識が変わりました。準備もそうですけど、エラーが起きるまでに何ができたか。考え直しています」と百崎。首脳陣の思いを胸に刻み、グラウンドに立っている。
成長を続ける19歳に、記者はどうしても聞きたいことがあった。「今年はファームで経験を積みたいのか、それとも今すぐにでも1軍へ昇格したいか」。百崎は即答した。
「1軍に上がりたい。経験してみたい」
プロ野球選手として当然の答えかも知れないが、高い志で1軍への切符をつかむ。
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