「阪神２－０中日」（１０日、甲子園球場）

　４番のバットが大きな１点をもぎ取った。阪神・佐藤輝の打球は左中間を真っ二つに。二塁上でベンチを指さし、手をたたく。頼もしい姿にＴＯＲＡＣＯたちもメロメロだ。

　「高橋投手もすごいいい投手なので、何とか追加点を取りたいと思っていたので、何とか一本出て良かったです」

　１点リードの六回２死三塁。緊迫した投手戦が続く中で打席を迎えた。「ある程度コンタクトを意識して」フルカウントからの６球目、高橋宏の外角高め１５５キロ直球をうまく捉えた。「すごくいい打球が飛んでくれたと思います」。三走・近本が悠々生還する適時二塁打に。３試合ぶりの打点となる貴重な２点目を挙げ、「打てるボールっていうか、チャンスは少ないと思っていたんで、あの打席で一本出て良かったです」と胸を張った。

　同期で同学年の村上を援護した後は、三塁からその投球を見守った。マダックス達成を目の前にした九回については「（マダックスの意識は）ありましたよ。本人が意識していたかどうかは知らないですけど」とニヤリ。「頑張れ」と心の中でエールを送っていた。そして右腕がマダックスの偉業を達成すると「もう本当にさすがですね。守っていて安心感がありましたし、リズムもいいですし、すごくいい投手だなと改めて感じました」と感嘆した。

　この日は女性ファン向けイベントの「ＴＯＲＡＣＯ　ＤＡＹ」が開催された。ＴＯＲＡＣＯが選ぶ「恋人にしたい選手」ランキング５位に入った佐藤輝。「（感想は）１位の人に聞いてくださいよ」と照れくさそうに話したが、甲子園を訪れたＴＯＲＡＣＯをはじめとしたファンにかっこいい姿を見せられた。１１日は母の日。完封勝ちの勢いそのまま、また快勝を収めたい。「まだまだ試合は続きますけど、今日みたいに粘っていいゲームをつくりたいと思いますので、よろしくお願いします！」。そう誓った背番号８に、大歓声が降り注いだ。