百科事典の名プロデューサー 最後の挑戦は阪神タイガース 鈴木徹也社氏、鬼門のスポーツ分野に岡田監督就任で企画

 阪神・岡田監督(手前)、改発博明デイリースポーツ特別顧問(右)と写真に納まる鈴木徹也社長=1月
 3日に全国発売される「阪神タイガース実況CDマガジン」の創刊号(c)阪神タイガース/ABCラジオ
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 パートワーク(PW)の「阪神タイガース実況CDマガジン創刊号」(隔週刊、発行=アシェット・コレクションズ・ジャパン)が3日に全国発売される。プロデューサー兼編集長は、アシェットの専属企画開発会社で株式会社・企組の鈴木徹也社長(67)が務める。PWでは困難とされるスポーツ分野の阪神タイガースを題材に選んだのは、同社長の猛虎魂があったからだ。

 連覇に向け岡田阪神が船出した。開幕4連勝で独走優勝した昨年とは違う苦しいスタート。ファンはやきもきするが、岡田監督は泰然自若としてタクトを振る。鈴木社長にとっても勝負が始まる。自身がプロデューサー兼編集長を務める「阪神タイガース実況CDマガジン」が3日に発売される。

 小学校途中から高校まで大阪で育った生粋の阪神ファン。この雑誌の企画を描いたのは、一昨年10月に岡田監督が就任したときだった。

 「阪神ファン待望のレジェンド監督の復帰、選手層も厚くなってきて指導者次第で優勝を狙えるチームに変貌すると思ったからです。岡田監督は必ずやタイガース野球に新風を吹き込んでくれると確信したからです」

 40年以上も出版、コンテンツ業界で生きてきた。PW事業で数々の成功を収めてきたが、PWでは難しい分野とされるスポーツ、しかも現在進行形の阪神タイガースというテーマに挑むのは、阪神愛があるからだ。

 4年で100号以上を目指す大型企画は、1年をかけて構想、市場調査などの準備をしてきた。ただ、阪神の戦いが読めない部分がある。通常のPWは全巻の準備ができて創刊という手順。それだけに「やってみなければどうなるのかわからないというのが正直な気持ちです」と不安も口にする。

 未知の部分もあるが、阪神ファンだからこそのこだわりが詰まっている雑誌とCDの一体型商品となっている。雑誌部門は「岡田タイガースの現状と未来像を深掘りする編集方針」と言い、長期的な視野で阪神を追っていく専門誌を目指す。CDは阪神戦を全試合中継する朝日放送ラジオの実況中継を音源としている。

 「ラジオ実況は相当な技量が伴うアナウンサーがいなければ成立しない。テレビでは味わえない実況アナウンサーの言葉の巧みさ、興奮度がとても面白い。アナウンサーと解説者とのやりとりもテレビ実況とは比較にならないほどの言葉の量と質がある」

 1年を通して隔週で発売されるため、オフには岡田監督や選手の独占インタビューで声を届ける。創刊号、2号では岡田監督の独占インタビューがある。岡田監督の現役時代から親しい前デイリースポーツ社長・改発博明特別顧問をインタビュアーに指名し、本音を聞き出している。

 鈴木社長は岡田監督や選手のインタビュー現場にも同行し、納得のいく作品にしている。「私が指揮を執るのもこれが最後」と、このPWを最後に会社経営に専念する。生涯最後の作品をスタートさせる鈴木社長は、一昨年10月に就任した岡田監督の役割にも似た部分がある。

 「阪神タイガースのファン層の絶対量、野球への憧憬(しょうけい)の深さ、球場での応援の団結力、甲子園という聖地、どれをとってもメジャーにも存在しないほどの人気球団であるという基礎票が企画発案の祖。読者とともに研究したい」

 全巻収集すれば価値のある阪神タイガースの百科事典ができあがる。

 ◆鈴木徹也(すずき・てつや)1956年生まれ、67歳。新潟県出身。1986年に出版系企画会社を設立。ルーカスフィルムとスター・ウォーズの日本での出版活動を展開。その後映画関連出版物の事業を拡大。95年からイタリアのPW専門出版社デアゴスティーニ社との合弁事業で数々のヒット作品をプロデュース。その後アシェット・コレクションズ・ジャパンとの協業をはかり株式会社企組を設立。代表取締役社長を務める。

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