阪神・前川 挽回マルチ&鮮やかフェイク 左翼獲りへ落球から攻守で一変

 「オープン戦、阪神2-5ヤクルト」(9日、甲子園球場)

 阪神は球団ワーストを更新するオープン戦開幕から8戦8敗となった。それでも前川右京外野手(20)が先発フル出場し、適時二塁打を含む2安打。前日8日・ヤクルト戦(甲子園)で5点差逆転負けのきっかけとなる失策を犯した守備で、汚名返上のフェイクプレーで追加点を阻止。激しい開幕左翼争いの中、打って守って意地の猛アピールを見せた。

 前日のミスを取り返したい。そして開幕スタメンをつかみ取りたい。前川の強い思いがプレーに表れた。「昨日、本当にチームにも悪いことしてしまった」。8日の同戦、八回2死一塁で右翼ファウルグラウンドへの飛球を落球。一挙6失点のきっかけをつくってしまった。

 一夜明けたこの日は「7番・右翼」で先発。名誉挽回のチャンスを無駄にはしなかった。四回1死二、三塁。松本直が放った右翼前へのライナー性の打球に対し、前川は右手を上げて直接捕球する意図を示した。これを見た三走・内山はいったん帰塁。だが、これはフェイクだった。前川はワンバウンドで捕球。素早く中継の中野に送球し、本塁タッチアウトに仕留めた。

 「ノーバンで無理かなと思ったので、フェイントみたいなのをやって、カットまでつなげられた」。汚名返上の頭脳プレーに「落ち着いてできたのでよかった」と胸を張った。

 直後には持ち味の打撃でも魅せた。2点を追う四回1死一、二塁で吉村と対峙(たいじ)。二回2死三塁の好機で凡退していただけに、「何とかして事を起こすじゃないけど、ちゃんとつなぐという気持ちで入った」。カウント2-1で右腕の4球目、低めに来たスライダーを反応で捉えた。鋭い打球は右翼ライン際へ。反撃ののろしを上げる適時二塁打となった。

 九回2死ではカウント1-1から星の低めカットボールを捉え、オープン戦初マルチ安打となる右前打。フル出場で最後の最後までしっかりアピールし、「最後の打席でもう一本出たので、次につながるかなと思います」とうなずいた。

 2安打1打点と結果を残した。それでも「まだまだだと思うんでもっと調子を上げていけるように頑張ります」と話す。ノイジー、ミエセス、井上、小野寺らと争う開幕左翼奪取に向けて、「一日一日、チームのために貢献できるようなプレーをこれからもしたい」と気を引き締めた。

 チームはオープン戦8戦8敗となり、10日は開幕前最後の甲子園での試合。しかも開幕カードと同じ巨人戦だ。「ちゃんときょう悪かったことを反省して、明日またゼロからのスタートだと思うので、しっかり準備して入りたい」。飽くなき向上心と強い気持ちで、レギュラー争いを勝ち抜く。

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