山下陽一先生「教師冥利につきます」 阪神・佐藤輝の存在が生きがい
「ヤクルト0-7阪神」(29日、神宮球場)
阪神・佐藤輝明内野手(24)が五回に2号ソロを右中間席へ、八回には3号2ランを右翼席に突き刺した。今季初の1試合2発を含む4打点で先発の村上を援護し、神宮虎祭りを演出だ。自身の連続試合安打も6に伸ばし、チームも3試合連続の完封勝利で3連勝。右肩上がりの頼れる5番がチームをさらに加速させる。
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「プロになったらサインをもらいに来るからな!!」-
9歳だった14年前に交わした先生との約束。プロ野球選手となった佐藤輝は、その言葉をずっと覚えていた。
あの日の約束が交わされる瞬間が訪れる。昨年オフ、イベントに参加した背番号8の前に見覚えのある人物が…。「サインをもらいに来るからな」と予告していた甲東小学校4年2組の担任、山下陽一さん(65)だった。
感動の再会。サイン入りの打撃用手袋を手渡され、山下さんは感激したそうだ。「2年間だけ甲東小学校に勤務して、2年目に佐藤選手の担任だったのですが、本当にうれしかったですね。教師冥利(みょうり)につきます」。すぐ「山下先生ですよね?」と、佐藤輝が思い出したこともうれしかったという。
最も記憶にあるのは社会科の授業だ。兵庫県の自分の好きな街、場所を紹介する授業で佐藤輝は「甲子園球場」を紹介したそうだ。
「あの時はハニカミ屋さんでモジモジしている印象もあったんですけど、野球が大好きで。一番好きな場所で甲子園をプレゼンしていたことはずっと覚えています」。そんな甲子園が本拠地となり、今は阪神の主力選手として活躍している。
山下さんも60年以上の虎党。教え子が近大を経て、タテジマのユニホームを着ることになったことも「運命的」と形容した。「昔は鬼ごっことかも一緒にして、一緒に駆け回ったなあ…。本当に阪神に入ってくれてうれしい」。9歳だった少年時代を知るからこそ、喜びもひとしおだ。
山下さんが甲東小学校を去る時、4年2組の生徒たちから寄せ書きをもらった。そこで佐藤輝はド直球なメッセージを書いていた。
「先生、親父ギャグがさむい」
これには山下さんも苦笑いだが、今となってはいい思い出だ。甲子園にも観戦に訪れ、実際に佐藤輝のホームランも目撃。「涙が出ました(笑)」。勝負の3年目を迎える教え子への期待は大きい。
「3割・30本・30盗塁の『トリプルスリー』を見てみたい。本当に長く野球選手を続けてほしい。ケガに気をつけてほしいです」
佐藤輝の存在が、山下さんにとっての最高の“生きがい”だ。(デイリースポーツ阪神担当・関谷文哉)
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