阪神・村上7回完全 大記録まであと6人の大興奮G斬りショー 3年目24歳、次こそプロ1勝

 5回、坂本(左)を一飛に打ち取り、ガッツポーズを決める村上(撮影・高部洋祐)
 2回、岡本和を空振り三振に仕留める村上
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 「巨人1-2阪神」(12日、東京ドーム)

 誰もが若武者の快投に大偉業の夢を見た。今季初先発の阪神・村上頌樹投手(24)が、巨人を相手に七回まで圧巻のパーフェクト投球を披露。“快挙”はならず自身のプロ初勝利も逃したが、延長十回に同じ淡路島出身の近本光司外野手(28)が勝ち越し打を放ったことで、勝利につながる価値ある84球となった。

 「えーーー!!」。八回1死で村上に代打が告げられると、敵地のスタンドから大ブーイングが起こった。終わってしまうには惜しい、圧巻の投球だ。

 「誠志郎さん(坂本)と、どういう意図でやっていこうかと話していたので、良いようにハマりました」

 初回をわずか8球で三者凡退に抑え、快投ショーの幕が開けた。二回先頭では、プロ入り当初から対戦を熱望してきた智弁学園の2学年先輩・岡本和と初対決。昨秋から磨いてきた148キロ高め直球で空振り三振に斬った。五回先頭でも二邪飛。「巨人の4番ですごい打者ですけど、打たれたくない気持ちが強かった。抑えられて良かった」と納得顔だ。

 アウトを重ねる度に高まる場内の緊張感と高揚感。それでも「目の前のことだけを考えて。何も意識せず、無駄なランナーを出さないようにしようと思っていた」と冷静だった。5奪三振で7回をパーフェクト。大記録がかかる中、84球での降板にも「余力は少しはあったんですけど、本当に7回投げ切れて良かった」と後悔はない。

 左肩違和感を訴えた伊藤将の離脱などで巡ってきた、新人時代の21年8月28日・広島戦(マツダ)以来、約2年ぶりとなる1軍での先発機会。岡田監督は「これは当然、次も先発やらさないと」と次戦の先発を明言した。

 昨年夏頃、心はどん底だった。「あぁもう上がれそうにないと思ってました」。1軍には鉄壁の投手陣。コロナ感染の時期も重なった。2軍では2年連続のタイトルを獲得するなど奮闘を続けたが、声は掛からない。いつしか自身で“1軍の壁”を作り上げた。

 新人時代には2試合に先発もいずれも5回を持たずKO。「特に2試合目は悔いが残ってます。ビビりなだけ。結果を出さなきゃと焦って、逃げの投球になってました」。このままではいけないと、フェニックス・リーグから生命線の直球を磨いた。オフの自主トレは青柳に弟子入り。さらに研鑽を積んだ。

 プロ初勝利こそ逃したが、示した3年目の成長。「2年前と同じになったらどうしよう」-。試合後、前日まで抱えた不安は消えていた。

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