阪神・湯浅 希望の光になる 目指すは「WBCで世界一、阪神で“アレ”」
3月開催の「カーネクスト 2023 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)東京プール」の日本代表に選ばれ、背番号22を背負う阪神・湯浅京己投手(23)がキャンプ休日の13日、「WBCで世界一、阪神で“アレ”」と誓った。代表選出時にあった栗山監督からの電話の舞台裏も明かした右腕。度重なる故障を乗り越えてきただけに、自身の投球を通じて「希望、勇気を与えられる存在になりたい」と思いをはせた。
幼き日に思い描いた夢がもうすぐかなう。初めてWBCの試合を観戦した小学生の頃、イチローを中心とした侍戦士たちが東京ドームで躍動していた。「自分もあそこで投げたい、WBCに出たい」-。決して誰もがたどり着ける場所ではない。不断の努力を重ね、その挑戦権を得た。目指すは当然、世界一だ。
「小学生の頃からの目標でしたし、やっぱり本当に感慨深いです。WBCで優勝に貢献したい。やっぱり世界一になりたいですし、タイガースでも“アレ”したい。(両方の可能性がある)権利を得られたことは光栄です。一生懸命、腕を振るだけだと思います」
実は、1年前のこの時期から今年のWBCを意識していたという。当時は通算3試合の登板しかないブレーク前だったが、「WBCがあるのは分かっていたし、誰もが出たいと思うじゃないですか。何も実績も無かったですけど、自分の中でそういう目標を持っていました」と、常に高みを目指していた。
思いを内に秘め、昨季はチームのセットアッパーとして自己最多59試合に登板し、2勝3敗、防御率1・09と結果を残し、最優秀中継ぎのタイトルに輝いた。昨年のクリスマスイブ。文句なしの成績を残した右腕に、待望の瞬間がやってくる。
西宮市内でトレーニングをしていた湯浅の元に一本の電話が。相手は栗山監督で「世界一になるために力を貸してくれませんか」とWBCメンバー入りへの意思を確認された。何度も「体、大丈夫?」と気遣ってくれたこともうれしかったという。指揮官の言葉が、戦う原動力となりそうだ。
CSファーストS・DeNA戦(横浜)では守護神を務め、緊迫した場面での登板が続いたが、ピンチを切り抜けてきた経験が短期決戦でも生きるのではないかと考えている。
「だいぶ生きてくるんじゃないですか。あの経験を2試合できたことは自分にとってプラス。そういう展開で投げるとなればやっぱり生きてくると思う。(ピンチの場面は)燃えると思いますね」
栗山監督にはメディアを通じて「一気に日本の抑えまでぱっと走っていく(駆け上がっていくくらい)」と大きな成長を期待された。「そう言っていただけることはありがたいこと。いずれはそうなりたい」。胴上げ投手への意欲を問われると「なれるならなりたいですよ」と屈託の無い笑みを浮かべた。
聖光学院在籍時は成長痛による腰痛に悩まされ、プロ入り後は3度の腰椎分離症を発症。あまりの悔しさに涙を流した日もある。それでも、湯浅は諦めずにリハビリを続けた。
「リハビリの時からいろいろ、自分のモチベーションを上げるために1軍で投げるイメージをしたり、ジャパンに入りたいと思ってやっていたりしていたので、それが自分の中ではモチベーションにはなっていました」
同じように故障に苦しむ野球少年や学生は多い。その影響で大好きな野球を諦めるケースも少なくはない。自分がマウンドに立つことによって、そんな人たちの希望になることはできないか-。真っすぐな思いを明かす。
「ケガで苦しんでいる人とか、リハビリを頑張っている人とかもそうですけど…子どもたちやいろんな人に苦しいことを乗り越えたら、明るい未来が待っているじゃないですけどね。こうやって(自身が野球をする姿を通じて)“やれる”っていうのを自分自身がWBCとかタイガースでやることによって、希望や少しでも勇気とかを与えられる存在になりたい。自分の投げている姿を見て、頑張ろうとか思ってもらえるように頑張りたい!!」
全てが明日につながると信じ、前だけを向いて幾多の試練を乗り越えてきた。ずっと憧れていた夢舞台で魅せる“アツアツ”な投球が、世界一奪還への道しるべとなる。
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