阪神はコーチも勉強しないと“岡田野球”についていけなくなる-高代氏の見解

 阪神は15シーズンぶりに復帰した岡田彰布監督(64)が早くもチーム改革に着手し始めている。その独特の野球観と洞察力を知る高代延博氏(デイリースポーツウェブ評論家)は「選手だけでなくコーチも勉強が必要」と語り“岡田野球”のいち早い吸収を勧めた。

  ◇ ◇

 岡田監督は外から見ていて思うところがあったのだろう。ポジションや打順に関する構想をいろいろと語っているね。

 佐藤輝の三塁、大山の一塁固定。真っ先に明言した2人の守備位置については私も大いに賛成だ。

 内野と外野の違いも大きいが、投手を軸にした右と左の位置関係も、勘を狂わすことがある。地球の北半球と南半球が正反対の気候であるのと一緒にはできないが、簡単ではないですよ。

 送球も外野手と内野手は当然ながら全然違う。中日時代の森野が三塁から外野へ回り、再び三塁へ戻ってきた際、距離感の違いに苦労していたからね。

 またトップバッターを近本にしたいという話もあった。出塁率を大事にするという考えは私も同感だ。

 送球にやや不安のある中野を二塁に回す考えもあるようだね。強肩が魅力の小幡にとってはショートのポジションを奪い取るチャンス。ほかにもいい選手はいるが、この新しい二遊間も賛成だね。

 こう考えれば、これまではかなり理に合わない布陣を敷いてきていたと改めて感じる。

 これでひとまず“大枠”が決まり、あとはどう肉付けしていくか。2軍には若い前川や伸び悩んでいる井上、頭打ち感のある高山ら急成長や化ける可能性のある選手がいるし、外国人ら新戦力も入ってくる。最終的にどんなオーダーになるのか。楽しみが大きい。

 楽しみと言えば、独特の野球観をもっている岡田監督の野球も早く見てみたいね。

 (高代氏は2011年~12年にオリックスでヘッドコーチを務め、三塁コーチャーも担うなど岡田監督を支えた)

 岡田監督とはオリックス時代、監督とヘッドコーチという関係で仕事をさせてもらった経験があるが、洞察力や観察力にたけていて鋭い“野球勘”も持っている。

 なにより阪神の監督としても優勝経験があるし、緻密で奥の深い野球は、ここ数年の阪神のイメージを変えるだろうね。

 例えば盗塁。シーズンに入ればこれまでとは違い、勝負どころなどで必要に応じてベンチがサインを出すはずだ。そのときに注意しておかなければいけないのが、先述した岡田監督の野球勘。もちろんデータを頭に入れての動きだ。

 一塁へ牽制球があったとする。この時に1球投げたか2球投げたかでサインが出る、あるいは変わる可能性がある。

 その後、本塁へ投げたか、またはどの球種を投げたかで、サインが出たり取り消されたり。1球で状況が変わるのと同じようにベンチワークも一瞬で変化する。

 これはほんの一例に過ぎないが、こういうことを見逃してはいけないし、日ごろから感知する力を身につけておくようにしないと“岡田野球”についていけなくなる。

 それは選手だけでなく、コーチも一緒に勉強していく必要があるということ。これまでの自由な野球とは違い、緻密な部分がどんどんリクエストされるに違いない。

 1球への集中。的確な状況判断。この積み重ねでミスは減っていくし、ここぞの1点が入るようになる。来年の阪神には、そういう野球が期待できると思うね。

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