普段明るい才木が、泣いていた 阪神・新井トレーナーが明かす苦難の道
「中日0-3阪神」(3日、バンテリンドーム)
20年11月に受けた右肘トミー・ジョン手術を経て、1159日ぶりの勝利を挙げた阪神・才木。リハビリをサポートし、苦難を乗り越えていく姿を間近で見てきた理学療法士・新井雄太球団トレーナー(32)が、右腕の復活勝利に思いを寄せた。
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一番近くで才木を支えた新井球団トレーナー。右肘の痛みと苦闘し、涙を流す姿も間近で見てきた。
「19年5月に右肘を痛めてから、なんとか完治を目指して頑張っていました。それでも、状態を上げることが出来ずにリハビリ期間の治療中は話すことができないくらい落ち込んでいて。普段明るい才木が泣いている姿を初めて見ました。痛さも悔しさもあって流れた涙だったと思います。トレーナーとして一番近くで関わってきたからこそ、才木には申し訳ない気持ちで一杯でした」
手術をすることが決まった時には、才木はもう前を向いていたという。
「『誰よりもいい状態で誰よりも早く復帰するんだ!』と意気込んでいたのを覚えています。弱音を一切吐かずにリハビリに取り組む姿を見て、いつもさすがだなと思っていました」
約1年半に及んだ長いリハビリ生活。復帰に懸ける強い思いは、ひしひしと伝わってきていた。
「手術をきっかけに才木自身が色々と勉強してくれたおかげもあり、リハビリは比較的順調に進みました。本人は頑張って努力しているつもりはなかったかもしれませんが、当たり前のように自ら学んで練習に取り組む才木のような選手はそう多くありません。自分の身体の状態をしっかり把握してセルフケアを欠かさず、良いと思った治療、トレーニングはどんどん取り入れていました。早く復帰したい気持ちが強すぎてペースを抑えるのに苦労したくらいです」
復活した姿はテレビで見届けた。「本当にうれしかったです。まだまだこんなものじゃないと思うので、ここから1軍で活躍してほしい」とさらなる飛躍を願った。