「戮力同心」-阪神・熊谷の胸に生き続ける立大スピリット

 「阪神6-5中日」(26日、甲子園球場)

 4時間16分の激闘に終止符を打った痛快な暑気払いだ。阪神・熊谷敬宥内野手(26)が延長十一回2死二、三塁から、中越えにプロ入り初となるサヨナラ打。今季2度目のサヨナラ勝ちで3連勝を飾った。

  ◇  ◇

 2017年春、熊谷が主将を務める立大は35季ぶりのリーグ戦優勝を飾り、6月の全日本大学野球選手権も59年ぶりに制した。チームスローガン「戮力同心(りくりょくどうしん)」を合言葉に、部員一丸で頂点まで勝ち上がった。

 「戮力同心」とは中国の歴史書にある言葉で「心を合わせて協力すること」の意。新チーム結成時に熊谷主将が中心となって決めた。聞き慣れない四字熟語だが「全員野球」と同意で、熊谷が説明すると溝口監督は即時に気に入って承諾。レギュラー、メンバー外、上級生、下級生に関係なく、部員100人弱を同スローガンの下でまとめ上げた。

 大学時代から武器は守備と走塁で、打撃に課題があった。不思議と好機でよく打順が巡ったが、なかなか結果を出せなかった。選手権の準々決勝・天理大戦は1点を追う九回に熊谷が起死回生の同点適時打を放ち、延長タイブレークの末に勝利。土壇場での執念の一打は、OBら関係者の間で語り継がれている。

 野球部のスローガンは毎年更新されるが「根本にあるのは『戮力同心』だから」と溝口監督は言う。今も立大の後輩たちは、日本一に輝いた熊谷の代が掲げたスピリットを継承して戦っている。

 この日はみんなでつないで、最後に決めた熊谷がヒーローになった。矢野監督は「全員でつないで勝てた。こういう試合が僕たちの野球。改めてこういう試合をしてくれた選手たちに感謝します」と称賛。阪神も立大も同じ縦じまのユニホーム。指揮官が口にする「俺たちの野球」と通じる「戮力同心」を体現する殊勲打で大きな一勝をもたらした。(デイリースポーツ・阪神担当・斉藤章平)

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス