【中田良弘氏の眼】巧みなけん制、好投の中に見えた阪神・伊藤将のうまさ
「阪神4-0巨人」(22日、甲子園球場)
阪神は伊藤将に尽きるという試合だった。八回と九回はそれぞれ17球を要したが、そこまでは四回の14球が最多で、ほぼ毎回10球前後の球数で無四球。走者は出していたが、リズムが良かったので野手も守りやすかったはずだ。その中で、四回無死一塁での岡本和との対戦にうまさを感じた。
つながれると嫌な場面で、結果としては2球で追い込み、3球目のツーシームで併殺に仕留めたが、初球を投じる前に一度、一塁にけん制を入れている。伊藤将の場合、このけん制の投げ方が、打者への投球と非常に区別しにくい。実際のところは岡本和に聞かないと分からないが、投げてくるのかこないのかというところで、タイミングが取れていないように見えたし、微妙なズレをうまく使って抑えたと言える。
長坂のリードも光った。伊藤将とは2軍でもバッテリーを組んでいたが、前日のウィルカーソンに続き、変化球をうまく使う必要のある投手と2試合続けて組み、勝てたことは今後につながるはずだ。